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黄崑虎さんと台湾犬の吉宝(左)、後ろの白い犬も黄さんのペットだが、台湾犬ではない=1925年建築の自宅で
黄崑虎さんと台湾犬の吉宝(左)、後ろの白い犬も黄さんのペットだが、台湾犬ではない=1925年建築の自宅で
プロフィール

 こう・こんこ 1918年台湾台南県生まれ。李登輝元総統の側近として知られ、「台湾李登輝之友会」の総会長を務めたこともある。現在、民間交流組織の「台湾之友会」の総会長。

黄崑虎さんと吉宝 台湾犬(オス4歳)

敏しょうな動き
猟や番犬で活躍

 台湾南部を旅していたら、台南県後壁の元総統府顧問、黄崑虎さんの家で、「これっ、台湾犬だよ」と紹介をうけた。名前は「吉宝(チーバオ)」。目があうと、吉宝くんが語りかけてきた。翻訳すると-。

 僕は台湾犬。中国語では「台湾土狗(トゥーコウ)」といって、もともといた土着の狗(いぬ)という意味だけど、日本人と関係が深いんだ。ご主人の黄さんによると、日本統治時代に日本人が、僕らの能力が高いことを見いだし、イノシシ狩りの猟犬や番犬用に改良を重ねたんだ。

 僕らはスマートで、動きは敏しょう、高い垣根も一っ飛び、それに主人に対する忠誠心が強く、粗食に耐える。猟犬や番犬に向いているんだ。でも、いつの間にか台湾犬はかえりみられなくなり、今では純血種は少なくなってしまったんだ。

 いろいろな分類方法があるけれど、だいたいは真っ黒なものが多い。あとは僕のような虎斑(とらふ)と呼ばれている少数派。ほらっ、僕をよくみると、トラのしま模様のような文様が見えるだろう。僕の母さんは台湾犬のコンテストでチャンピオンになったことがあり、ご主人は僕を台湾犬の純血種で、こんなに虎斑がきれいなのは珍しい、というけれど。本当かな。

 僕はペットとして大事にされているけど、ちゃんと番犬の仕事もしているのさ。

 ご主人の家は1925年建築の四合院(中国の伝統的住宅)で、地元の文化財に指定されている。だから、僕は番をしている。

 台湾の工事現場で僕のような犬を見たら、台湾ってのんびりしてる、工事現場で犬を飼ってる、と思わないで。僕らは建築資材が盗まれないよう、番犬の任務に就いているのさ。闇夜に真っ黒な犬にほえられたら、盗っ人は震えあがるだろうな。

 他にも、果樹園や養殖池の周辺でも仲間は番犬として飼われている。日本だって、建築資材や高級果実などがごっそり盗まれたことがあったよね。台湾でもそう。だから、僕らが番犬になって、世の役にたっているんだ。台湾に来て、僕らを見かけたら、よろしくね。

 黄さんは「台湾犬や四合院をはじめ台湾の習慣や文化を大事にして、伝えていきたい」と話す。台湾犬は台湾でも正式な犬種としては認められていない。日本の琉球犬、薩摩犬に近いといわれるが、よくはわからない。しかし、黄さんによると、近年、そのよさが見直され、愛好者が増えてきており、犬種として認められる日は近いかもしれない。

 (文と写真・草間俊介)