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「休日、出かける時はいつもレオと一緒です」という酒井さん=東京都世田谷区のなじみのドッグカフェで
「休日、出かける時はいつもレオと一緒です」という酒井さん=東京都世田谷区のなじみのドッグカフェで
プロフィール

 さかい・くによし 1964年生まれ。東京大理学部卒、同大学院修了。現在、同大学院総合文化研究科准教授。言語の脳科学を専門とし、メディアでも活躍。著書に「言語の脳科学」など。

ヨークシャーテリア(オス9歳)

感情表現が豊か
言葉はいらない

 「こういうと科学者らしくないですが、レオとの出会いには運命を感じました」と話すのは、東大大学院准教授の酒井邦嘉さん。

 脳と言語の関係について最先端の研究をしている飼い主に、運命という言葉を使わせたのは、愛犬のレオ君である。つぶらな瞳をきらきらさせて、酒井さんのひざの上にちょこんと座るヨークシャーテリアだ。

 レオとの出会いは、9年前、酒井夫妻が新しいマンションに引っ越した時。マンションの向かいの家に、ちょうどレオが生まれたのだった。

 「友人がヨークシャーを飼っていたので、自分もいつか機会があったら飼おうと思っていました。引っ越ししたら、たまたま近所の人に、向かいのお宅に子犬が生まれ、もらい手を探していると聞いたんです」

 犬を飼うには絶妙のタイミング。見にいくと、レオは酒井さんに抱っこされて眠ってしまった。最初から親子のようになじんだのだ。

 しかもレオは酒井さんに顔立ちがそっくり。奥さんによると、性格までそっくりとか。「とても慎重で、考えてから行動するところが主人と同じ。私は犬を飼うのが初めてだったんですが、レオははしゃいだり、他の犬とケンカしたりしないので、楽でした」と奥さん。

 酒井さんのほうは、研究で動物と接した経験から、犬のしつけも得意らしい。仕事がら、やはり愛犬にも言葉を教えているのだろうか。

 「ドイツで犬に訓練したら、200くらいの言葉を覚えた例があるそうです。でも、レオが分かる言葉は20くらいかな。犬は群れで狩りをしてきた動物なので、人との関係の中でも自分のすべきことを察して行動する。言葉がなくても、ちゃんと空気を読めるんです」

 レオとつきあうには、むしろ言葉は邪魔になるようだ。

 「言葉があると、人間はいろいろ考えてしまう。そのおかげで、本来持っていた能力をだいぶ失ってきたんじゃないかな。考えるのをやめた時、素の自分に気づき、犬とも近い感覚になれるような気がしますね」

 ひざの上で飼い主の話を身じろぎもせず聞くレオ。だが奥さんが大好きなおやつを出すと、「クー」と控えめにのどをならして要求する。

 「レオは感情表現が豊か。理不尽にしかったりすると、悔しそうに歯をむき出す。逆に、うれしい時はちゃんと笑う。長い出張から帰った時など、歯を見せて笑い、最上の喜びを私たちに表現するんですよ」

 運命の愛犬の笑顔は、どんな言葉より価値がありそうだ。

 (文・宮晶子、写真・中嶋大)