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畑中さんの仕事机で寝転ぶ猫の「ガツ」(右手前)。猫たちが作品の山に上ることも=東京都調布市で
畑中さんの仕事机で寝転ぶ猫の「ガツ」(右手前)。猫たちが作品の山に上ることも=東京都調布市で
プロフィール

はたなか・じゅん マンガ家、版画家。1950年生まれ。福岡県出身。代表作は「まんだら屋の良太」。宮沢賢治をテーマにした作品も多い。近著にエッセー集「私」。

畑中純さんとガツほか6匹の猫たち 猫(オス9歳)

花押ならぬ足跡で
制作の“お手伝い”

 仕事部屋に天井近くまで積み重ねられた作品の山。その山を崩さぬように、猫が注意深く上っていく。頂上に到達すると満足げに座り、飼い主の畑中純さんを見おろしている。

 「机で仕事してると、時々猫が上から下りてくるんですよ。だから猫の足跡がついた作品もけっこうありますよ」と笑う畑中さん。

 故郷の北九州市小倉時代から猫と暮らしてきたせいか、彼らのいたずらをいちいち気にとめる様子はない。もっとも、畑中さんの版画なら、猫の足跡がついてもかえって楽しくなりそうだ。

 「この東京の家の周りにも、以前は面白いノラ猫がたくさんいてね。腹ペコのあまり網戸を上ってくる親子の猫や、子猫を産むたびあちこちにおいてくる母猫とか」

 昨年出版した作品集「猫日和版画館」にも、そんなユーモラスな猫の姿が収められている。

 現在の飼い猫7匹は、やはり近所で拾ったりもらったりして短い間に増えたとか。年齢もみな10歳前後になる。よく絵のモデルになるのは、キジトラのガツだ。

 「ガツはなぜか他の猫たちに嫌われていて、仕方なく仕事部屋に来てるんですよ。で、必然的にモデルになる。7匹いると、猫も性格がいろいろ、私を見ると逃げる猫もいます」

 取材中もガツ以外の猫は、2、3匹姿を見せるものの、すぐ隠れてしまう。

 少し前まではオス同士のケンカもあったが、最近は高齢のせいかみな静かになってきたそうだ。

 1年前、一番年長で体も大きかった「ロビン」が突然、倒れて死んだ。この家で初めての猫の死だった。市内のペット霊園で、家族全員が立ち会い、火葬した。

 「フライドチキンが大好きだったので、骨付きモモ肉を一緒に入れてやりました。係の人がロビンの骨を拾ってくれたのですが、チキンの骨を見て首をかしげていましたよ」。好物と一緒に眠るロビンの骨つぼは、今も家に置いてある。

 半年前は、10歳になる「ミィ」が乳腺腫瘍(しゅよう)になり二度の大手術をしたが、見事に回復した。

 「いきつけの動物病院は、7匹いると大変でしょうと割引してくれます。家内がしっかり猫たちの健康管理をしていますから。私もそろそろ、税金の扶養控除の欄に猫たちの名前も書こうかな」

 畑中さんは最近、ツシマヤマネコに興味を持ち、大学でもマンガを教えている。忙しさに比例して作品の山も高くなり、猫にはますます上りがいができるだろう。

 (文・宮晶子、写真・坂本亜由理)