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バニラと散歩の途中、扇子づかいのけいこも=東京都江東区で
バニラと散歩の途中、扇子づかいのけいこも=東京都江東区で
プロフィール

さんゆうてい・らくまろ 1963年生まれ、千葉県船橋市出身。82年三遊亭円楽に入門、91年真打昇進。鉄道ファンとしても知られ、旅番組に出演も。

三遊亭楽麻呂さんとバニラ 柴犬(メス6歳)

歩みに合わせ
落語のけいこ

 三遊亭楽麻呂さんが、真っ白な柴犬を連れて、待ち合わせの公園に現れた。犬が登場する落語といえば、白い犬が蔵前八幡で人間になる「元犬(もといぬ)」が知られている。それで、「名前はしろですか」と聞くと、「いえ、バニラというんです。でも、利口な犬で、元犬をほうふつとさせますよ」。確かにバニラはおとなしく、鳴きもしない。凜(りん)としていて、人間に媚(こ)びる様子もまったくない。

 「実は、バニラは私の飼い犬ではないんです」

 楽麻呂さんは結婚時、奥さんの実家近くで賃貸物件を探し、13年前から東京都江東区のマンションに住む。大家さんが上の階に住み、バニラは大家さんの飼い犬。バニラという名前は、大家さんの娘さんが白い色から連想して、名づけたという。

 落語の世界では、大家といえば親も同然、店子(たなこ)といえば子も同然というが、楽麻呂さんはそれを地でいき、大家さん一家とは家族同様のつきあい。バニラは雨でも大風でも、朝夕に散歩に行かないと落ち着かない。いつの間にか、楽麻呂さんも月に5、6回はバニラの散歩を担当するようになった。

 「バニラを散歩させながら、私は落語のけいこをするんです。頭の中でイメージをふくらませるのに、バニラの歩みのペースというかリズムが心地よくて」

 特に新しい落語を覚えようとしているようなときは、バニラにも楽麻呂さんの真剣さが伝わるのか、横道にそれるといった余計な面倒をかける動きはまったくしない。黙々と楽麻呂さんをリードして行くという。楽麻呂さんが「しろをほうふつとさせる」と言うゆえんだ。

 3月3日、11日に一門会(お江戸両国亭)に出演が決まっており、取材の日もバニラとけいこしていたのかも。

 楽麻呂さんは中学校で落語クラブに入ったのをきっかけに落語家をめざし、高校卒業と同時に、円楽師匠に入門。住み込みで2年半ほど内弟子を経験した。

 師匠は当時、キンケイ鳥、ハッカン鳥を飼っており、楽麻呂さんはその世話を任されていた時期もあった。その経験から、ペットの重要性はよくわかっている。その楽麻呂さんが言う。

 「人生いろいろ山あり谷あり、気が晴れないこともあって、そんな時はバニラをじっと見る。バニラはいつもおおらか、悪意がない。いつしか自分は心が小さいなあ、狭いなあと、またがんばろうという気持ちがわいてくる。ペットを飼う楽しみでしょうか」

 (文・草間俊介、写真・中嶋大)