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最近、緑道に姿を見せるようになったという白い猫が、えさを食べるのを見守る田淵さん=東京都品川区で
最近、緑道に姿を見せるようになったという白い猫が、えさを食べるのを見守る田淵さん=東京都品川区で

「品川区の世話人」田淵秀男さん

労力と時間費やし
地域の猫と暮らす

 東京都品川区の区民の憩いの場、立会川緑道。その一画、中延5丁目付近に、「地域猫の世話人」として知られる田淵秀男さん(67)がいる。

 毎朝6時と夕方5時、田淵さんは作業着に身を包み、近くの自宅から大きなバスケットを運んでくる。その姿を見ると、緑道を行きかう人々が「ご苦労さま」「猫、待ってるよ」と声をかける。

 バスケットの中には約20匹分の猫の食事がそれぞれの器に。メニューはキャットフード、鶏肉、魚とバラエティー豊かだ。

 「外の猫たちは、人間の残り物を食べてきたので、好みがいろいろなんです。食べられないとかわいそうだし、残るともったいないので」

 猫が食べたものと量を毎日記録し、適量を与えている。

 食事場所は緑道の植え込みに3カ所。ナメクジが入ってこないよう、塩水の容器の中に食器を置く。さらにカラスよけのネットを張り、雨の日は手製の雨よけをかける。なんとも快適な猫の食堂だ。

 実はここは、品川区の“お墨付き”の場所。区の「飼い主のいない猫との共生モデル事業」で、ここ中延5丁目町会がモデル地区(地域)に認定されている。そのことを示す掲示板もかけられている。

 「以前は、えさやり禁止の立て札がありましたから、後ろめたかったですね。今のように行政の認定があると、地域猫の理解を得るのにとても助かります」と田淵さん。

 田淵さんがこの付近の猫にえさやりを始めたのは5年ほど前。緑道沿いの敷地に母猫と子猫がいるのを見つけ、土地の所有者に了承を得てえさやりを始めた。その後、世話する猫は増え、自費で不妊去勢手術をしてきた。

 区は3年前、都の動物愛護管理推進計画(当時は動物愛護推進総合基本計画)を受け、モデル事業をスタート。田淵さんは町会に、外の猫を地域猫として世話していくべきことを説き、昨年モデル地区に応募、認定された。

 人々の理解を得るために、猫のフンだけでなく、犬のフンやゴミ掃除もする。毎日、4、5時間はこの活動に費やし、1年間休みもない。

 そんな田淵さんの姿に、多くの人が共鳴し、見守っている。緑道を犬と散歩している男性は、「毎日これだけきちんと地域猫の世話をするのは大変な努力」と称賛する。

 だが、田淵さんは「まだまだ問題は多いですよ。飼い猫らしいオスがよく紛れ込んでくるんです。放し飼いをやめ、捨てるのをやめなければ、外の猫は減りません」。

 品川区では、現在6つの町会をモデル地区に認定、今後も区全域に増やしていきたいとしている。(宮晶子)

東京都動物愛護管理推進計画

 人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指して、東京都が策定した。その中で「飼い主のいない猫対策の推進」をうたっている。計画期間は2007年度から10年間。地域猫とは、管理責任者のいない野良猫とは違い、地域の猫好きの住民らの協力で、給餌(きゅうじ)されるだけでなく、排せつ物の始末や去勢手術などを含め世話を受けている猫をいう。