ペット大好き!情報
水口哲さんとマイケル
人なつこい性格のマイケル。「いつも一緒に昼寝しています」と水口さん=東京都文京区で
プロフィール

みなくち・さとし エネルギーコーディネーター。1942年生まれ。京都府出身。米アイオワ州立大大学院で原子力工学の博士号取得。ゼネラル・エレクトリック(GE)日本支社などを経て、ユートピア開発研究所を設立。著書に『吾輩はドーベルマンである』のほか、『原子力、いまアメリカでは』(編・共著)など。

水口哲さんとマイケル ドーベルマン(オス 5歳)

番犬のつもりが
子ども代わりに

 ドーベルマンという犬を、ふつうは飼わない。水口さんが飼い始めたのは、当時、犬についてほとんど“素人”だったからにほかならない。

 「犬好きの友人にも言われました。いきなりドーベルマンを飼うなんて、無免許でダンプカーを運転するようなものだって」と笑う。

 ドーベルマンを選んだのは、理想的な番犬がほしかったからだった。

 「物騒な世の中になったので、鍵や窓ガラスを丈夫なものに替えようとしたら、ものすごく高い。すると業者の人が、番犬なら安くてすみますよと」

 そのへんのペットショップではドーベルマンなど売っておらず、千葉県のブリーダーのところへ。一番元気な子犬に決めたものの、当然のなりゆきで子犬のいたずらに困り果て、友人の勧めで警察犬訓練所へ入れた。

 「1カ月ほどして見にいくと、見事にほふく前進をやっている。ああなんて素晴らしいんだと感激しましたね。でもちゃんとやるのは訓練士さんの前だけ。私がバー跳びをやってみせても、全くまねしないんです」

 そんな折、忠犬ハチ公の飼い主上野博士の文章を読んだ。犬は芸をさせるものではなく、家族として共に暮らすものと書いてあった。いつしかマイケルも番犬から家庭犬の道へ…。

 「マイケルは私と一緒にいるのが大好きですからね。そりゃかわいいですよ。人間の子どもはやがて出て行きますが、犬はずっと子どものままですから。うちの秘書なんか、マイケルにひざまくらしてやって耳掃除しています。それに驚いたのは女房がね、うつ病で毎年のように入院していたんですが、マイケルが来てから全く入院しなくなりました」

 もともとマイケルという名も、一家が米国で暮らしていたころの息子さんの呼び名。息子さんが独立した今、まさに夫妻の子ども代わりになったようだ。

 昨年、水口さんは、マイケルの目線を通して世の中を見た『吾輩(わがはい)はドーベルマンである』を執筆。いつの間にか自他共に認める愛犬家となってしまった。

 「犬から学ぶことはたくさんあります。たとえば上下関係の大切さ。最近、親も教師も子どもと友だちみたいになっていますが、そのためにいろいろと問題が起きているんじゃないでしょうか。犬との関係もそうであるように、上下のけじめをつけることが必要です。もっとも、うちはマイケルを甘やかし放題にしていますが…」

 あいきょうたっぷりのマイケルだが、悩みは、お友だち犬が少ないこと。小型犬はいうに及ばず、大型犬も、マイケルが長すぎる足でぴょんぴょん近寄ってくるのを見ると、引いてしまうのだという。

 どこかに、優しいドーベルマン君、いませんか?

 (文・宮晶子、写真・由木直子)