第73回 『正しく知る、ということの大切さ』

新しい生活をスタートした方も多くいらっしゃる4月。
あちこちで花が咲き、まるで行く先を応援してくれているかのよう。
こちらのコラムも、ご縁をいただいて4年目の春を迎えました。
いつも目を通してくださるみなさま、本当にありがとうございます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
さて・・・
前回のコラムを読んでいただいた方から、嬉しいメールをいただきました!
「正直、自分の地域では、大きな災害は滅多に起きないだろうなと甘く考えていました。
そう、自分の中で、どこかひとごとだったのだと思います。
自分の大切な家族を、大切ないのちを守るために、出来ることがあるなら、ちゃんと知っておかなくちゃ!
そう思って、さっそく防災講座に参加してきました。
そして思ったこと。
自分の目で見て、自分の耳で聞いて、正しいことを知るって、本当に大切だなと実感しました」
この方は、さっそく防災用品を揃え、知ったことを行動に移されたそうです。
これも、正しい情報を、知ったからこそ。
何ごとも、
「知っていたから、防げた!知っておいて、良かった!」
そう感じる場面が多くありますね。
『性』に関しても、まさにそう。
そんな中、実は今、東京都足立区の中学校にて3月に行われた授業に対して、東京都議や東京都教育委員会の介入についての問題が広がっています。
この問題についての記事をご参照ください。
■東京新聞 TOKYO Web
都議の教員批判、波紋 中学校の性教育「不適切」
(2018年4月5日 東京新聞 朝刊社会 27頁掲載記事)
この記事を読まれて、みなさんは、
『正しい性教育』について、どう思われますか?
「自分たちも、特に教えてはもらってないけど困った経験はないし・・・」
「自然と知るものじゃないの?」
まだまだそういう声もたくさん聞こえてきます。
けれど・・・世界の中では、~性教育後進国~ともいわれている、日本。
性に関しての情報はありとあらゆるところに溢れ、間違った情報に簡単にアクセス出来る現状にあります。
私たち大人が小中学生だった頃から比べたら、その数が確実に倍増していることは、
誰しもが感じていること。
だからこそ、
正しいことを正しく知る必要性がとても高いはずなのに・・・。
本当は、もっともっと
小さいうちからの継続した性教育が必要なはずなのに・・・。
それどころか、中学校の性教育において、「性交や避妊、人工妊娠中絶」という言葉を使ったことが問題視されるなんて・・・。
そもそも、中学の保健体育の学習指導要領に、これらの文言が記されていないことは、大変大きな問題だということを、産婦人科医の先生方や多くの識者の方々が 以前から問題視されています。
そして、私自身、保護者のみなさん向けに性のはなしをさせていただくと、よく耳にする声。
「学校ではどこまで教えてもらえるんですか?」
「学校で習うから、大丈夫ですよね?」

文部科学省の学習指導要領によると、小中学校では性交渉は扱わないことになっています。
でも、漠然とは知っているんですよね、子どもたち。
そして実際に、性交=SEX=妊娠の可能性がある行為、という理解が結びついていなかった中学生カップルが、SEX→妊娠→妊娠人工中絶というケースもあります。
だからこそ、現場に関わるみなさんは、日々、子どもたちへの性についての伝え方について模索し尽力されているわけです。
このような現状を、大人はもっと正しく知り、家庭から、学校から、その他のいろいろな人との関わりから
あらゆる方向から継続した性教育をすすめていくべきではないのでしょうか。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界保健機関(WHO)と協力して2009年に発表した性教育の指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」
国際基準では、幼少期から正しい知識を伝えることを推奨しています。
下記の記事に
ユネスコ「国際セクシュアリティ教育ガイダンス年齢別学習目標と主な内容(生殖について)」
の記載がありますので、ぜひ目を通していただき、一緒に考えていただけたら、と思います。
■東京新聞TOKYO Web
性教育で申し入れ 国際基準は「幼少期から」 都議の授業批判で識者
(2018年4月7日 東京新聞 朝刊武蔵野版 18頁掲載記事)
このガイダンスを見て思うこと。
性教育には段階が必要で、継続した教育が不可欠と考えられます。
『正しく知る、ということの大切さ』
まずは、知ることから。
次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。