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育児コラム
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第1 回 決意 お父ちゃん、今度こそ頑張る

おなかの子に病気 「愛せるのか・・・」

 「おなかの赤ちゃんに口唇裂(こうしんれつ)・口蓋裂(こうがいれつ)の可能性がある。精密検査を受けます」。昨年3月2日の昼、取材先から仕事の拠点、東京・永田町の国会議事堂に戻ろうとしていたときだった。無料通信アプリのLINE(ライン)で、妻(37)からメッセージが届いた。

 画面に示されたホームページを開くと、「外表奇形の中で先天性の形態異常には、口蓋が裂けて口腔(こうくう)と鼻腔がつながる口蓋裂や・・・」。目で文字を追っても、動揺して内容が頭に入らない。妻には「今バタバタしてるからまた後で」と返すのが精いっぱいだった。

 その夜、帰宅して妻からエコー(超音波)検査の写真を見せてもらうと、胎児の唇が縦に裂けているのが素人目にも分かる。インターネットで調べると同じような状態の乳幼児の画像が次々に出てきた。

 説明には「口唇口蓋裂の子は約500人に1人の割合で生まれる」とある。唇や口の中の上部が裂けているため、授乳や摂食の障害、発音障害が起こりやすいという。基本的には生後数カ月で唇の整形手術をするが、その後の成長によって必要な手術の回数は人によって違うとのことだった。

 将来、見た目が原因で、子どもがいじめに遭うのでは? 手術や通院の費用は大丈夫か? ほかの病気は併発しないのか? この子にかかりっきりになることで、上のきょうだいが、ぐれるのでは? そもそも、このような外見の子を愛せるのか?

 それからしばらくは、いばらの道しか想像できず、仕事で疲れているはずなのに眠れない日が続いた。

 中絶も考えた。わが家は既に3人の子宝に恵まれている。4人目の子の病気のことなどを考えると、どうやりくりしても家計も厳しい。だが妻は「4人とも立派に育てたいと思います」と、きっぱり。彼女の動かぬ決意が伝わり、私も(ひんしゅくを買う表現だとは思うが)観念した。

職場の後押しで向き合う覚悟

 ちょうどその頃、職場の先輩から「育児休業を取るのもいいかもね」と言われた。このひと言で育休を意識した。出産予定日は7月中旬。私が所属する政治部にとって、繁忙期である通常国会は閉会しているし、東京都議選も終わっている。タイミングは悪くない。

写真
口唇裂の赤ちゃん用の特殊な哺乳瓶で授乳する筆者=2017年7月、東京都内の自宅で

 でも・・・。政治部で育休を取った男性記者は、これまで誰もいない。仕事に穴をあけたら同僚にしわ寄せがいく。家計も厳しくなる。悩んだ末、恐る恐る上司に相談してみると「好きなだけ取って良し」。拍子抜けするほどあっさりと了承され、4人目の子にして初めて、真剣に育児に関わることが決まった。

 そして迎えた出産日。これまた初めて、分娩(ぶんべん)室まで付き添った。陣痛で顔をゆがめる妻を目の当たりにし、出産の大変さも、やっと知った。赤ちゃんとの初対面。口の右上が鼻の近くまで裂けている。それでも、何ともいとおしい。この子と家族のため「お父ちゃん、今度こそ頑張る」と誓った。

 育休中の私の主な役割は、赤ちゃんの世話というより、上の3人の子の面倒を見ること。2カ月間の長いような短いような育休が幕を開けた。(山口哲人)

>> 第2回 好奇の目? 勝手に感じ、おびえていた

(2018年01月17日)

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