小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第39回 『4歳:夢の中にママがいないんだ』

 いつも読んでいただきありがとうございます。

 親だから子どものことはよくわかっている! と誰でも思います。

 でも実は、親でもわからないこと、いっぱいあるんですね。

 子どもの年齢が低いと、表現力がまだ乏しいために、自分のことをうまく表現できないこともあります。そのために、親には違うことが伝わってしまったり、親が子どものことを勘違いして理解してしまったりします。  親が想像できることにも限界があり、子どもの話をちゃんと聞いてみないとわからないことは、たくさんあるのです。
 もちろんこれは、子どもが小さい頃に限定される話ではありません。子どもが成長しても、よーく子どもの話に耳を傾けているうちに出てきた子どもの内なる思いに、びっくりすることもあるのです。

 今回ご紹介する事例は、親業訓練協会発行の季刊誌『ヒューマンリレーションニュース(2015年秋号)』からです。緑色の親の会話の部分が効果的な対応となる会話です。

****************************************************************************

  一緒にお風呂に入ったあとの二男(4歳)との会話。

子  テレビの続きが見たい

親  テレビはつけません

子  じゃあ、ふとんに入っても目をつぶらないでね

親  ママは寝る時間だから目をつぶって寝るよ

画像

子  だって、怖い夢見るから・・・・

親  (・・・・もしかしたら「テレビを見たい」と言ったのはサインだったのかな?)

   怖い夢を見るから寝たくないのね

子  うん、悪いのがいっぱい出てくるから

親  夢の中に悪者がいっぱい出てくるんだ

子  ママがいないんだよ

親  その夢の中にママは出てこないんだね

子  ヒーローもいないんだよ

親  そっかぁ。ヒーローも出てこないんだ。怖かったね

子  (いきなり、ケロッとして)  
   早く寝ようよ!

 最初は、二男の言葉に否定的な気持ちだったが、「何かあったのかもしれない・・・」と、途中で気付いたので、 能動的な聞き方  をしてみた。すると、こちらが拍子抜けするぐらい、いきなり気持ちを切りかえたので、びっくり!

 普段は、話上手な長男(6歳)の話のほうに耳を傾けがちだが、このときは二人きりだったし、自分に余裕があったので、二男の話をゆっくり聞くことができた。「夢のことは二男にとって大問題なんだなぁ。もしかしたら、毎晩、悩んでいたのかなぁ」と思った。今までは、「まだ4歳だから確固たる考えもなく、話に中身はない」と二男をあなどっていたことに気付き反省。

 次の日、二男は起きた途端、「よい夢を見た」と嬉しそうに話してくれた。

****************************************************************************

 このお話を読んで、私も子どもが小さかった頃、このお母さんと同じように、「まだ小さいから、どうせ大したことじゃない」と勝手に子どもの話を軽く扱ったり、聞き流したりしていたなぁ、と反省を込めて思い出しました。

画像

 どれだけ子どもが小さくても、人生の経験が少ない、体が小さい、力が弱い、というだけで、心は大人と同じように働き、頭の中でもいろんなことを精一杯考えています。

 子どもなりの大問題、子どもなりの悩み、子どもなりの発案、子どもなりの大発見、子どもなりの感じ方、などいっぱいあります。

 体が小さい、人生経験が少ない、というだけでこれらのことを無視しないようにしたいですし、子どもの繊細な感覚は大事に育てたいものです。

 特に、なにか悩みや困っていることがある時。これは親としても見逃さずに子どもをサポートしたいですよね。

 子どものちょっとした言葉の端々や、いつもと違う言動、その子らしくない言動があった時には、子どもが困っているよ! というサインかも。それを親が見つけられると、今回の事例のように対応を切りかえられます。

 この事例の男の子が「テレビを見たい」と言ったのは、寝るとまた怖い夢を見るから寝たくない、というサインなのだと、お母さんは気付きました。

 そして、子どもの気持ちを聞く  能動的な聞き方  に切り替えたことによって、自分の心の中だけにしまっていた

・夢を見るのが「怖い」という気持ち
・お母さんが夢にいなくてひとりぼっちで不安という気持ち
・ヒーローもいてくれないから心配という気持ち

を話すことによって吐き出したので、すっきりしたようです。

 このように、悩みがあっても、特に解決策を施すことなく、ひとに話すだけで本人の中で解決してしまうこともあるのです。

 それは、話を聞いてくれた人が、自分のことを理解してくれたと感じるからです。

 能動的な聞き方には、そんな効果があります。

・自分の話をちゃんと聞いてくれている
・自分のことを理解してくれている
・自分のことを受け容れてくれている
・だから安心する

画像

と子どもが感じるのです。

 子どもがそう感じるのは、能動的な聞き方が

・親の意見を言わない
・しっかりと子どもの気持ちを聞く
・子どもの気持ちに寄り添う

という方法だからです。

「子どもの気持ちを聞く」とは

・子どもは今こんな気持ちなんだろうと推測し、気持ちを確認する
・子どもが話した通りに繰り返す
・子どもが話した内容を確認するように話す

という話し方をすることによって、実現することができます。
 事例のお母さんの言葉掛けを、この視点から再度読んでみてください。説明すると難しそうですが、実際に言った言葉を読むとわかりやすいでしょう。

 こんな風に子どもがすっきりとすれば、親としてもよかったなと安心しますね。

 事例は幼児ですが、どの年齢の子どもであっても、 実際の気持ちとは無関係な言葉や行動でサインを出すことがあります。 このサインを親が見落とさないようにすることで、子どもの気持ちに寄り添い、安心感を子どもに与えるサポートができるのです。

 このコラムについてのご感想やご質問は、プロフィールに記載のメールアドレスまでどうぞ。小倉へ直接メールが届きます。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、自身が伝える子育てのスキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2017年06月09日)