小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第37回 『母親:私一人で夕食の準備』

 こんにちは。いつも読んでいただいてありがとうございます。

 これまでは、子どもへの対応ということで、子どもの様々な言動に対してどう対応するか? というお話をたくさんしてきましたが、親がイライラした時はどうしたらいいか? について今日はお話しします。

 母親ってほんとうに家の仕事がたくさんありますよね。やってもやっても減らないし、時間もかかるし、時にはうんざりしたりするかもしれませんね。しかも家族がまったく手伝ってくれないと、イライラが募ってきます。

 今回ご紹介する事例は、親業訓練協会発行の季刊誌『ヒューマンリレーションニュース(2016年夏号)』からです。表現を変えただけで、お子さんがさらっと手伝ってくれた、というお話。お子さんは9歳と6歳の男の子。

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 これまでいつも
「少しは手伝ってよ! お母さんばかりにさせないで!」
と言うと、家族はぶすっとしていた。

 それを、こんなふうに言い方を変えてみた。

親  夕食の準備の時間にみんながゲームをしたり絵本読んだりしていると、お母さん一人で用意をして時間がかかって焦るなぁ。悲しくなるなぁ

長男  (さっと私のところへ来てお椀を運ぶ)

親  ありがとう! 運ぶのを手伝ってくれるんだね。嬉しいなぁ。助かるなぁ

長男  うん(嬉しそうに箸も並べる)

次男  (テレビを消して食卓にさっと座る)

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 わたしメッセージを伝えると、子どもたちが穏やかに私の心を理解してくれたのでびっくり。 これまでの反応との違いを突きつけられた ような気持ちだった。
 いつもゆっくりペースの長男が、私が困っていることがわかるとさっと動いて助けてくれることに気づけたのもよかった。

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 子どもを何時までに寝かせたい、だから何時までにお風呂に入って、だから夕食は何時までに食べ終わって、そのためには食事の支度を何時までには終わらせなきゃ!

 世の中のお母さんたちは、ほんとうに息をつく暇がないですよね。

 そんなふうに時間に追われているだけで、疲れてしまいそう。なのに、家の外でも働き、帰宅してすぐに家事に追われる・・・・。イライラが募るのも当然といえば当然でしょう。

 そんな、イライラ、”私だけが頑張って家事をしている”、”だれも手伝ってくれない”という思いを、「少しは手伝ってよ!」という相手を責める言い方で表現してしまうと、残念ながら手伝ってくれるどころか、家族の機嫌が悪くなって、余計に母親のイライラを増やす原因になります。

 相手を責める言い方は、 あなたメッセージ といって、相手に直接怒りの矢をぶつけるので、言われた家族側にしてみると、叱られたような気持ちになったり、そんなことを言う親が嫌い!って思ったりします。

 ところが、相手についてではなく、自分について伝える、という表現にすると、言われた家族は全く違う受け取り方をします。 自分の気持ちを伝える のです。

 このお母さんの場合は、「焦る」とか「悲しくなる」という気持ちです。

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「少しは手伝ってよ!」


「お母さん、焦るなぁ。悲しくなるなぁ」

との違いは

言われた側にとって、とても大きな感じ方の違いになります。

 

「少しは手伝ってよ」

⇒“僕はお母さんに責められた、怒られた”

「お母さん、焦るなぁ。悲しくなるなぁ」

⇒“お母さんは今、焦ってるんだ、悲しいんだ”

言われた側が感じる内容がこんなにも違います。

 9歳の息子さんは、「お母さんは悲しい」と聞いて、“これはいけない、何か手伝わなきゃ”と思い立ったんですね。しかもすぐに行動に移しました。

 お母さんは自分を語った、わたしを語った、からお母さんのことが子どもによく伝わったのです。

 わたしを語るので、この言い方を わたしメッセージ とよびます。

 わたしメッセージは、子どもの、相手を思いやる気持ちを育てます。

 わたしメッセージは、親の思いをわかりやすく子どもに伝えます。

 わたしメッセージは、子どもに、自分の行動が周りの人にどんな影響を与えるのか? について自然に伝えることになり、協調の心を育みます。

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 わたしメッセージは、親だって、いろいろな感情が湧く、一人の人間なんだ、ということを子どもに表現していきます。

 わたしメッセージは、親がモデルになるという意味で、子どもに、自分の気持ちを素直に表現していいんだ、ということを伝えていくことになります。

 わたしメッセージは、間接的に、感情表現豊かな子になっていく可能性を秘めています。

 わたしメッセージは、親が自分の気持ちを溜め込まず、外に出すことで楽にする効果があります。

 親がイライラしたとき、その原因となった子どもの行動を非難しないように気を付けながら、あなたにどんな影響があって、どんな気持ちが湧くのか、を表現してみてください。
 今までとは違う家族の反応に驚くかもしれませんよ。そしてあなたのイライラも少なくなるかも・・・・。

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小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2017年05月12日)