小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第36回 『4歳:「今日Kちゃんとケンカした」』

 こんにちは。小倉京子です。今回も読んでくださってありがとうございます。

 さて、子どもがケンカして帰ってくると、親としてはとっても気になりますよね。

 誰とケンカしたのか、どんな経緯でケンカに至ったのか、どっちがどんな言い方をしたのか、結局どんな別れ方をしたのか、などなど詳細に知りたくなりますし、早く仲直りさせた方がいい気がして、どうすればいいのかを子どもに教えたくなります。

 今回ご紹介する親子の会話では、親はこうした会話以外の話しかけ方、能動的な聞き方で子どもに話しかけています。そして親が何も教えなくても、子どもが自分で解決していることがよくわかります。

 事例は親業訓練協会発行の季刊誌『ヒューマンリレーションニュース(2014年春号)』からのご紹介です。

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 幼稚園から帰宅する途中。
 娘(かすみ・4歳)が、ぷりぷり怒っている。

子  今日、Kちゃんとケンカした!

親  Kちゃんとケンカしたんだ

子  だって、かすみが使っていたカップをKちゃんが取ってっちゃったんだよ

親  使っていたカップを取られていやだったんだね

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子  そうなの。だから、もう遊ばないって言ったの

親  もう遊ばないって言ったんだね

子  うん・・・・・・

  (しばらく沈黙)

    でも、かすみがずっと使い過ぎだったかも・・・・・

親  独り占めしてたかも、と思っているんだね

子  うん、だから仲直りしてくる!
  (走って園に戻る)

 今回、私が能動的な聞き方を心がけ、意見を言わないでいると・・・・、「あっ、かすみが自分で決めた!」と思う瞬間に出会え、びっくりしました。どうするかを考える力が娘自身の中にあるのだとわかりました。

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 このお母さんがしていることは、ご本人が感想でも書いているとおり『能動的な聞き方』と呼ばれる、子どもの話に耳を傾ける言葉がけです。子どもの心に耳を傾ける、と言ってもいいかもしれません。

 この方法の詳細はコラムの初めの頃に何回かにわたって解説していますので、詳細に知りたい方は過去のコラムをさかのぼってご覧ください。

 この会話について見てみると、子どもが言った言葉をそのまま繰り返したり、子どもが言いたい内容を表現を変えて親が確認したりしています。

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 えっ? これだけでいいの? と思われるかもしれませんが、友だちとケンカをして嫌な気持ちになっている時にこれ以外のことを言われると、子どもが親に対して嫌な気持ちを持ったり、親に話しをしたくなくなったりと、親に対してあまりよい気持ちを抱きません。

 これだけ? と感じることですが、実際にやろうとすると、もっと他の事が言いたくなってしまって、これだけで留めることはそれなりに難しいものです。

 子どもの気持ちを聞くことだけで対応すると、なぜよいのかといいますと、
・子どもが言ったことを親が繰り返すことで、子どもが自分のことをしっかり自分で理解を深めることができる、内省できる
・親が子どもの言ったことを正しく理解していることが子どもに伝わる
・親が理解してくれて子どもが安心する
・安心すると、どう解決しようかという方向へ自然に思考が進む

という効果があるからです。

 親が子どもの気持ちを聞くことに集中し、親の意見を言わないことで、子ども自身がその問題に対して考えようとするのです。

 親はつい、このぐらいの年齢はまだ親が解決に関わってあげなきゃと思いがち。でも4歳でも仲直りをしようと自分で決意して、自分で園に向かって戻っていこうという勇気が湧くのです。

 子どもが本来持つ力、信じてみてください。

 子どもが小さいうちから、こうやって自分で考える機会を増やしていくことで、自立する力が自然と付いていくことでしょう。

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小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2017年04月28日)