小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第35回 『中1:まず話したいことと本当に話したいことは違う』

 こんにちは。今回も読んでくださってありがとうございます。

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 いよいよ4月、新年度が始まりましたね!
 新しい学校・幼稚園・保育園に通う子、次の学年に進級する子、それぞれがワクワクという気持ちと心配な気持ちが入り混じった日々を迎えていることでしょう。

 我が家の長男も大学に進学し一人暮らしを始めていますが、どうやらワクワクの方が大きそう。一方次男は高校に入学し、友達できるかな?という不安の方が大きいようです。

 この時期、親は子ども達をどんな風にサポートすればよいのでしょうか?

 子どもの心の奥にあるものを、普段、親が気付けているでしょうか?

 親がきっとこうだと決めつけたり、言いたいことがあっても話し途中で親が言葉をかぶせてしまい、子どもが全部言えずに終わってしまったりしていないでしょうか。

 ちゃんと子どもの話を聞いてみると、意外なことが見えてきたりします。話始めたこととは違うことで悩んでいることがわかることだってあります。

 子どもの心の奥には何があるのでしょう。それをどうやって知ることができるのでしょう。

 今回は、年度替わりのこの時期に多くの子が抱える”友達ができるか心配”という悩みについての事例を取り上げていきます。事例は親業訓練協会発行の季刊誌『ヒューマンリレーションニュース(2013年秋号)』からのご紹介です。

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 中学に入学し、ひと段落した6月のある日のこと。小5から継続して通っている英語教室から帰った娘(中1)は、ひと目でわかるほど落ち込んでいた。

子  今日、英語の教室でYちゃんがやる気がなかったから、「やめちゃえば」と言っちゃった・・・・

親  Yちゃんに「やめちゃえば」と言っちゃったのね・・・・

子  そう、だって先生に文句言って、すごく悪い態度だったの

親  あなたには考えられない態度だったから、「やめたほうがいい」と思ったのね

子  だって、授業も進まないし、学校の授業の方が進んじゃうし、いやなんだもん

親  授業が遅れて学校の勉強に悪影響だと思っていやなのね

子  学校もね、わがままな子がいてね、今日もすごくいやだったの

親  学校でもいやなことがあったのね

子  うん、だんだんみんな周りに慣れてきて、自分勝手でついていけないの

親  慣れてきて遠慮がなくなっているのがいやなのね

子 (だいぶ落ち着いて)

  仲良くなれる子がなかなかいなくて・・・・。でも、Mちゃんとなら仲良くなれそうなんだけど

親  そうか、Mちゃんとだと仲良くなれそうなのね

 英語教室のトラブルで落ち込んでいると思って 能動的な聞き方 を続けると、 学校生活での不安が大きいことがわかりました。心の奥に本当の悩みがあるときに、それがすぐに表に出てくるとは限らない、まず手近な悩みからあふれ出してくることがあるのだと気づきました。

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 子どもが悩みを抱えていそうと気付いたら、まずその時に、その子の気持ちをきっちり聞くこと。そこからがスタートです。

 このお母さんは、自分の意見や判断は何一つ言うことなく、子どもの言葉をそのまま繰り返して言ったり、あるいは言い換えたりすることで、子どもの話を理解していること伝え、子どもをそのまま受け止めました。

 自分がした話に対してあれこれジャッジされないと悟ったこのお子さんは、目の前の悩みからもっと深い悩みを話しても大丈夫だと感じます。

 だから、本当にいつも心に引っかかっていること、困っていることを母親に話してみようかなと思ったのです。

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 年度替わりのこの時期、ちゃんと友達ができるかなと不安を抱えるお子さんは多いと思います。
 新しいクラスで、新しい学校で、友達できるかな? 親にとっては大丈夫よ!と思える問題であっても、子どもには大きな不安であったりします。

 でも自分が心配になっていることを、突然親に話し始めるのがためらわれたりすると、普段は心の中にしまって出さないようにしています。でも、心の中は苦しいままなので、こうやって他の話題で悩みを聞いてもらったことで話しやすくなって、勇気を出して話してみようとすることもよくあることなのです。

 親が子どもの何気なく話したちょっとした話を、それを子どもが困っているサインととらえられずに、簡単に軽くあしらってしまうと、自分の不安は分かってもらえなかった、軽く扱われた、と子どもは感じます。

 自分が理解されていないと感じると、これ以上話しても無駄だと思ってしまうでしょうし、軽く扱われたことにより親への反発心が湧いたりするかもしれません。

 すると、もっと深い話を親にしてみようと思う道を絶ってしまうことになります。

 子どものことを全部知っている必要はないですが、少なくとも悩みがあるなら、一番近い関係にある親に話してほしいですよね。
 親だって子どものことを知っていたいと思うでしょう。
 子どもだって、話すことで気持ちが軽くなる可能性も十分あります。
 お互いの理解が深まるから、よい関係が築けるのです。

  子どもが悩んでいるときは、聞く側にまわり、親の意見を言わないこと、これがとても大切です。  
 これができると、子どもは悩みを親に話そうと思い、今回の事例のように、話し始めたことと違う悩みまで、芋づる式に出てくることもあるのです。
 そして、 後から出てきた悩みの方が、本人にとって重い悩みであることも 、往々にしてあるのです。

 悩みを解決してあげようとする必要はありません。
 子どもの自立を望むなら、自分で解決するようにしたいものです。
 それには、ただ「聞く」に徹すること。
 それだけで、子どもは自分で考えてそこから抜け出そうとするでしょう。親はそれをただ見守っていてあげてください。

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小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2017年04月14日)