澤田貴美子のつながる“いのち”

第48回 『お産の満足度を高めるために ~妊娠中の運動③~』

 3月も後半。あちこちで卒業式の様子を目にします。旅立ちや別れの後に待つ、新しい世界や、新たな出逢いが、楽しみな季節でもありますね。

 新しく踏み出す一歩は、その先の世界が楽しみでもある反面、環境の変化への不安も隣り合わせ。

 妊娠や出産も、まさに同じではないでしょうか。

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 妊娠中のこころとからだの変化。産後のこころとからだの変化。妊娠・出産により、大きく変化する生活のあれこれ。出産はゴールではなく、まさに始まりですよね。

 いろいろな戸惑いも、うまくいかないことも、本当にたくさん。初めての妊娠・出産、わからないことや不安がたくさんあっても、全く恥ずかしいことではありません。そして、2度目以上の妊娠・出産であっても同じです。例えばお2人目の妊娠・出産であっても、お2人目という経験自体は初めてなわけですから・・・。

 なので、その新しい生活の始まりを、少しでもスムーズにスタートしていただけたら、という願いがあります。その「育児」のスタートにつながる「出産」という大きな一区切りを、満足度の高いお産と感じることが出来たなら・・・。そんな想いで、 第45回 のコラムから連続して、出産に向けての準備についてを綴らせていただきました。

  第46回 のコラムでは、妊娠中の運動として、お散歩についてを、 第47回 のコラムでは、マタニティビクスについてをお伝えしてきましたが、運動には、様々な種類があります。

 お腹が張りやすく、お散歩やマタニティビクスなどの運動はなかなか出来ない、という場合や、これらの運動はどうも自分には合わない、という場合に、お勧めなのが、『マタニティヨガ』です。

 『マタニティヨガ』のポーズは、妊娠中のからだの変化に合わせて、無理のない姿勢で行うポーズですので、運動の苦手な方や、ヨガ初心者の方、からだが硬くてヨガはやってみたことがなくて、という方にも、気軽に行っていただける運動です。

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 腰痛や肩こりの予防や改善だけでなく、便秘や、足がつったりする不快な症状に対しても、予防や改善が見られることが期待されます。出産の際の姿勢の練習につながるポーズもあります。そして、何よりも大切なのが呼吸。ゆったりとしたペースで行う『マタニティヨガ』では、ポーズの度に行う深い呼吸が自然と身に付きます。

 「この呼吸とリラックス法が、出産の際にとても役に立った!」という感想がとても多いです。

 このご感想は、経膣分娩で出産された方々だけでなく、帝王切開で出産された方々からもいただいています。

 帝王切開は、手術。なので、出産される方の中には、たくさんの不安と緊張感で震えが止まらなくなる方もいらっしゃいます。

 「急に帝王切開と言われて、怖くて怖くて・・・。震えるし、力は入るしで、麻酔がなかなか入らなかったんです。その時、マタニティヨガの呼吸が自然と出てきて、ゆっくり呼吸したら震えが止まって・・・。からだの力もスーッと抜けて落ちつく事が出来ました。あぁ、良かった!マタニティヨガに通ってて!とすごく思いました」

 帝王切開で出産されて数日後の患者さんからこう声をかけていただいた時、マタニティヨガの呼吸の大切さを実感しました。

 緊急帝王切開で出産された方々だけでなく、予定帝王切開で出産された方々からも、呼吸が役に立った!という声は多いです。

 「傷が痛くて辛い時に、マタニティヨガでやっていた呼吸を思い出して、出来るだけゆっくり呼吸をするようにしてみたら、すごく楽になりました」という声も。

 本当に呼吸は大切ですね。

 『マタニティヨガ』のDVD付書籍などもいろいろ販売されていますので、ご自宅でDVDをみながら、行っているという方も多いですね。運動はしたいと思っているけれど、お仕事を継続中で、産前休暇に入るまでは、なかなかお散歩をする時間がないという方や、なかなかクラスに参加する機会がない、という方も、『マタニティヨガ』は、ご自宅で行っていただける運動ですのでお勧めです。

 『マタニティヨガ』のクラスの中で、「DVDをみながらだと、自分のポーズが合っているのか不安なんですが、自己流で大丈夫なのでしょうか?」という質問を日頃、よくいただきます。

 やはり、無理な角度や姿勢を取ることで、関節や靭帯に負担をかけてしまうこともありますので、不安な方は、『マタニティヨガ』のクラスへ参加されることをお勧めします。そして、運動の際には、ぜひご自分のからだの声をきいてあげてくださいね。

 指導者の元で行う『マタニティヨガ』にしても、ご自宅で行う『マタニティヨガ』にしても、いちばん心がけていただきたいのは、「心地よくからだを動かす」ということが大切なのではないでしょうか。

 ヨガで大切なのは、こころとからだを解放することです。日頃、頑張っているご自分にご褒美をあげるつもりで、こころとからだをゆるめること。

 この「ゆるめる」というトレーニングこそが、出産の際に「こころとからだを思い切り解放する」ということに繋がっていきます。

 妊娠中の運動には、この他にもマタニティスイミングなど、まだまだたくさんあります。ぜひ、ご自分に合った運動に出逢っていただき、こころとからだの準備を整えていただけたら、と思います。どの運動にしても、妊娠中の運動については、安全を守るためには、その特性についての知識を持つ専門家の指導を受けることをお勧めします。

 妊娠中に自分に合った運動を続けることは、こころも前向きにしてくれる効果がある、といわれています。妊婦さんたちを見ていると、本当にそれを実感します。からだの調子が良いと、こころも整う、とよく言われますが、本当に、こころとからだは繋がっているんだなぁと感じます。

 そして、ぜひ「これだけ準備もしてきたから、大丈夫」と自信を持ってお産にのぞんでいただけたら、と思います。

どうかみなさんの出産が、幸せなお産となりますように・・・。

次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

澤田貴美子(さわだきみこ) フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

(2017年03月23日)