澤田貴美子のつながる“いのち”

第47回 『お産の満足度を高めるために ~妊娠中の運動②~』

 まだ気温差が大きく、寒さも残る毎日ですが、服飾店などの店先のあちこちで春の装いが見られ、少しずつ春に向かっているのを感じる今日この頃ですね。

 日中は、あたたかい日も増え、お散歩が心地よい季節になってきました。 第46回のコラム でも、妊娠中の運動として、お散歩についてを綴らせていただきましたが、この季節のお散歩は、本当にわくわくしますよね。毎日同じコースを歩くと、花がつぼみから満開になっていく様子が見られたり・・・。そんな変化や、そのわくわくの感情をお腹の赤ちゃんに伝えてあげるのも、赤ちゃんの五感を育てるのにとても大切、といわれています。

 そんな中、頭を悩ますのが花粉症。花粉症による止まらないくしゃみにより腹圧がかかることで、尿漏れの症状が出たり、いつも以上にお腹が張ったり・・・。なので妊婦さんからは、「この時期のお散歩が出来ないんです」という声も聞かれます。

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 そんな時、おすすめしたいのが、室内での運動。今日は、その中のひとつ、『マタニティビクス』について、お伝えします。

 『マタニティビクス』は、妊娠中でも安心して楽しく運動出来るように、一般社団法人 日本マタニティフィットネス協会によって開発された、妊婦さんのための運動プログラムです。

 私もこの『マタニティビクス』を指導しているひとり。一般社団法人 日本マタニティフィットネス協会認定インストラクターとして、複数のクリニックでクラスを担当させていただき、現在19年目になります。

 よくあるご質問は、開始時期について。どの時期からどの時期まで運動していただけるか、というと妊娠13週から分娩直前まで出来ます。

 ただ、この開始時期については、施設によって様々です。医療施設の場合、主治医の先生のお考えによって、妊娠13週から可能としている施設もあれば、妊娠16週から可能としている施設もあったりします。開始時期については、参加される施設にご確認くださいね。

 どの時期から開始するにしても、経過が順調で、運動しても問題ないかどうかを、主治医の先生と相談していただいた上で許可を得てからスタートしていただくことが大切です。習慣性流産の方、前置胎盤の方、子宮頚管不完全症の方、双胎妊娠の方などの場合には、参加していただくことが出来ません。参加にあたっては、主治医の先生の許可書の提出が義務とされている場合も多いですので、こちらも合わせてご確認ください。

 また、マタニティビクスが開催されている施設は、主には医療施設やフィットネススタジオです。

 クラスへの参加費の金額も施設によって様々です。参加費無料の施設もありますし、有料で行っている場合でも、参加費の違いは施設によってかなりの幅があります。

 そして、医療施設の場合、その施設で開催されているクラスに参加出来る方に条件がある場合があります。現在その施設に通院中で、かつその施設で出産される方のみ参加OKの場合、出産は里帰りなど他院で出産予定でも、現在その施設に通院中の方なら参加OKの場合、その施設に通院しておらず、出産も他院で出産予定でも参加OKの場合、など。

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 「私の通っている産院では、そういうクラスがなくて残念・・・」という場合でも、ご自分の通院されている医療施設で開催していなくても、他の医療施設でクラスだけ受講することも可能な場合がありますので、開催している施設にぜひ問い合わせてみてくださいね。

 では一例として、私が普段行っているクラスの内容をご紹介します。

 まずは、クラス開始前に、体重と血圧の測定。そして、医療スタッフによる、レッスン前検診。この検診では、赤ちゃんの心音の確認や、当日の妊婦さんの腹緊(お腹の張り)や、浮腫(むくみ)について、有無や程度をチェックします。

 直近の妊婦検診での様子を母子手帳にてチェック、そして当日のレッスン前検診での様子をチェックさせていただき、レッスンに参加していただいています。

 血圧が高かったり、腹筋の有無や程度によっては、医師への相談の上、クラスへの参加を中止していただいたり、椅子に座って上半身の運動のみでご参加いただいたりと対応しています。

 医療スタッフの判断により、受診の必要がある場合には、そのまま受診して医師の診察を受けていただく場合もあります。運動の内容自体は、安全なプログラムですが、妊婦さんの状態によっては、運動する事が大きな負荷となりすぎてしまい、運動することがかえってマイナスになってしまう事があるため、万全な状態で安心して運動していただくことをこころがけています。

 運動プログラムの内容は、まずはウォーキングや軽いステップやストレッチでウォーミングアップ。妊娠中のマイナートラブルを予防したり、改善したりすることを目的とした運動を行います。メインエクササイズは、リズミカルに全身を動かす有酸素運動。全身を動かすことで血流も促され、冬でも汗ばむくらい全身があたたまります。特に、日常生活ではあまり大きく動かす事の少ない上半身を大きく動かすことで、産後の乳汁分泌促進も目的としています。

 運動不足や、生活習慣の変化により筋量が少ないといわれている現代女性のために、プログラムの中では、安全で効率の良い筋力トレーニング(マタニティスロートレーニング)も取り入れています。このマタニティスロートレーニングは、日に日に変化していく妊娠中の身体を支える力を高めることを目的としています。

 ここまでが約40分。40分お散歩をしようと思うとなかなか・・・という方も、『マタニティビクス』では、あっという間に感じた!という感想を持たれる方が多く、また、妊婦さんたちが同じ妊娠中のお仲間として、楽しい時間を共有することによって、妊婦さんの間での交流も生まれ、出産に向けてのモチベーションが高まるという効果も大きいです。

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 そして、マットを使用してのフロアエクササイズでは、出産の際に必要な筋肉のトレーニングや、出産をイメージしてのストレッチを。ペアワークで交流を深めていただいたりもしています。

 クラスの最後は、クーリングダウンのリラックスタイム。ゆったりとした呼吸法や、赤ちゃんのこと、出産のことをイメージする時間を過ごします。

 運動プログラムが終了したあとは、クラス開始前と同様に、血圧測定や医療スタッフによるレッスン後検診。という流れで、クラスが終了していきます。

 一例として、私が行っているクラスの内容を紹介させていただきましたが、『マタニティビクス』についてなんとなくイメージしていただけましたでしょうか?

 メインエクササイズの有酸素運動のレベルは、スポーツクラブに通った経験のある方でしたら、「初級エアロビクス」のクラスをイメージしていただけると良いかと思います。エアロビクス未経験の方や、リズムに合わせた運動は苦手という方でも、まずはぜひ、勇気を出してクラスに参加してみることをお勧めします!

 「無理~~~!」と思っていた気持ちが、「え?何これ、結構楽しいかも~!」にきっと変化するに違いありません。

 とは言っても・・・やはり運動には好みがありますので、どうか無理はなさらずに、ご自分に合った運動を続けてくださいね。

 次回は、その他の妊娠中の運動のひとつ、『マタニティヨガ』についてをお伝えしたいと思います。

 次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

澤田貴美子(さわだきみこ) フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

(2017年03月09日)