澤田貴美子のつながる“いのち”

第46回 『お産の満足度を高めるために ~妊娠中の運動①~』

 前回に引き続き、出産に向けての準備についてのお話です。

 女性が妊娠に気付いた時、まず考えることはなんでしょう?

喜びの気持ちの方・・・
驚きの気持ちの方・・・

 感じる感情もそれぞれであるのと同様に、楽しみだなぁ、と感じる方もいらっしゃれば、ただただ不安だわ、と感じる方も。これからどんな変化が起きてくるのかや出産についてを知るため、書籍を読んだり、webで調べたり、妊娠・出産についての情報を集めたりする方は多いのではないでしょうか。

 初めての妊娠には、初めての不安がたくさんあり、2度目以降の妊娠は、経験したからこそわかる不安や、経験したこととは違った新たな変化への不安を感じる方も少なくないと思います。

 妊娠中に大切なのは、自分のこころとからだの声をきく、ということ。妊娠は病気ではないとはいえ、子宮の中で約0.1ミリほどの受精卵が、約10ヶ月の間に身長50cm、体重3000gぐらいにまで成長するわけなのですから、母体への負担は想像を絶するものがあります。

 例えばつわりの時期。つわりの症状や、その程度は様々ではありますが、子宮から「ゆっくり休んでね」のサインが出ているわけですから、その時期はやはりその声に耳を傾けて、過ごす事が大切。無理は禁物ですね。

 とはいっても、胎児がこれだけ成長していく、ということは、それの成長を支えていけるだけの母体のいろいろな準備が必要となってきます。胎児の重さだけでなく、子宮も重くなりますし、母体自身、それらを守るための脂肪もついて体重も増加しますよね。その体重の増加に耐えられるだけの筋力・体力が必要ですし、もちろん出産にも筋力・体力が必要です。そして何よりも・・・産後に始まる育児のため。妊娠・出産でダメージを受けたにも関わらず、365日24時間フル稼働しなくてはならない育児期。この時期に、どれほど筋力・体力が必要なのか。産後のみなさんと関わらせていただいて感じるのは、「妊娠中の運動は、産後の体力回復や育児期を健康に乗り切るための、大きなキーワード」だということ。

 なので、つわりの症状が安定してきたら、少しずつからだを動かすことをお勧めします。

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 妊娠を機に、お散歩を始められる方も多いですね。妊娠初期でも、特に体調に問題がなければ、軽いお散歩は問題ないとされています。特に、普段車での移動が主になる生活をしている方は、知らず知らずのうちに、下半身の筋力を使う機会がかなり減ってしまっているため、歩く機会をあえて作る事がとても大切だと感じます。電車などの公共交通機関を使った移動手段と、車での移動では、毎日毎日の生活を比べるとかなりの違いが・・・。

 実際に、私も毎日車中心の移動手段を使っているのですが、仕事や研修などで東京や大阪に出向く度に、この事を実感させられます。毎日毎日、運動をしているのに、です。電車の乗り継ぎだけでも、歩く量、階段を使う量、自分自身の普段の生活とケタ違いです。数日続いた際に、なんと、筋肉痛になった事もありました。

 なので、普段の移動手段も考慮した上で、お散歩の必要性を見直してもらえたら、と感じます。

 そこで、よく受ける質問で多いのが、どれくらいお散歩をすればいいの?です。

 書籍でもwebでも、その答えは様々ですが、30分ぐらいと提案されている情報が多いようです。が、実はこの目安も本当に人それぞれで、妊娠週数や、その方の運動習慣などによって目安はかなり違ってきます。

 実際に今まで関わらせていただいた妊婦さんたちの中で、10分も歩くのはつらい、という方もたくさんいらっしゃいましたし、逆に、毎日1時間×2回歩いています!という方もいらっしゃいました。なので、30分はあくまでも平均と考えていただくとよいかと思います。

 これらの経験から、私は、ご自分のからだの声をきいてお散歩の時間を決めてもらうよう、その方の今までの運動習慣や、現在の妊娠週数、現在の不快な症状をふまえた上で、その方それぞれにアドバイスさせていただいています。

 なぜなら・・・妊娠中の運動は、とても大切ではあるのですが、妊娠中はその時ならではの、いろいろな不快な症状(不定愁訴)があり、また内臓にも大きな負担がかかっている時期でもあるため、効果を得るために運動したことが、やり方や程度によっては、逆効果になってしまうこともある可能性があるからです。

 みなさんのまわりにも、きっと、産前産後の運動についての専門家の方がいらっしゃることと思います。妊娠中の運動については、ぜひ専門家のアドバイスを受けられることをお勧めします。

 次回も妊娠中の運動についてをお伝えしますね。

 次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

澤田貴美子(さわだきみこ) フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

(2017年02月23日)