小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第31回 『5歳:きょうだいげんか』

 今回はきょうだいげんかの話題です。けんかの収拾に苦慮しているお母さんも多いことでしょう。

 5歳の子がきょうだいげんかをして、親のところに泣いてやってきた事例をご紹介します。親業訓練協会発行の季刊誌「ヒューマン・リレーション・ニュース」2012年夏号からのご紹介です。数年前の事例ですが、きょうだい間・親子間で起こることは、いつの時代も同じです。会話のあとには、このお母さんのコメントもあります。 *****************************************************************************

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 娘たち(12歳・5歳)がけんかをした。二女Sが長女に「ごめんね」と謝ったが、無視され、許してもらえなかった。しばらくしてもう一度謝っていたが、長女はまだ怒っている。Sは泣いて私の所に来た。

S  お姉ちゃんに「ごめんね」って言ったのに許してくれない(泣く)

親  「ごめんね」って言ったのに許してもらえなかったんだ

S  Sもいやだったのに、一生懸命「ごめんね」って言ったのに許してくれない

親  いやだったのに、勇気出して言ったのね。それなのに許してもらえないから悲しいのね

S  けんかしてるの、いやだから・・・・

親  お姉ちゃんと仲良くしていたいから、仲直りしたかったんだね

S  お姉ちゃんのこと好きだから・・・・

親  お姉ちゃんのこと、とても好きなんだね。仲良く遊びたいんだね

S  うん・・・・・。もう一回言ってくる

 2回も謝ったのに許してもらえず、かなりショックだったようですが、自分の気持ちを話すうちにだんだん落ち着いて、すっきりしてきたようです。
 以前なら長女には「許してあげなさい」、二女には「お姉ちゃんのことはほっときなさい」などと指示したり命令したりしていましたが、そうしない方が、自分で解決する道を見つけられて、すっきりした顔になっているのがわかりました。

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 こういったきょうだいげんかの場合、このお母さんも感想に書かれているように、だいたい親が仲裁に入って、上の子に対して、

「謝ってるんだから許してあげなさい!」

とか、けんかの原因を訊いて、

「そういう時はお姉ちゃんが妹に譲ってあげるものでしょ?」

とか、とかく上の子を叱りがち。

 このような対応をいつもしていると下の子は、親に言いつければ親は上の子を叱ってくれて、自分は勝つ、というようなことを覚えて、いつも親に言いつけに来るようになってしまいます。
 つまり親の傘の下で、下の子は庇護されているような状態なので、親に依存する体質を作ってしまいます。

 上の子も、いつも自分が怒られ、悪者みたいにされたり、自分が我慢すること、自分が譲ることばかりを強要されるので、不満が溜まるでしょう。
 こういったことが重なると、親に敵意をもつようになることだって十分考えられます。

 この事例のような親の対応は、下の子の気持ちに理解を示す言葉をかけているだけで、どちらの肩も持っていません。

 親は「あなたは今、こんな気持ちなのね」と1つ1つ確認しているだけなのです。

 こういった言葉掛けから、下の子は親に理解されたと感じます。
 理解されたので、悲しい気持ちも徐々に落ち着いてきて、最後は「もう一回言ってみる」と再度謝ってみることを自分で決意しています。

 自分で決めたことなので、行動に移す意欲はしっかりあります。

 もし、親が「さぁ、もう一度お姉ちゃんに謝っておいで」と提案したとしたら、散々謝っても許してもらえなかった後なので、なかなか勇気が湧かないことでしょう。

 しかし、自分で決めたことは、この勇気とともに決断できているのです。

 このケースは下の子が親の元に泣いて来て、親は下の子だけに対応していますが、けんかしている双方がいる状態で、それぞれが親に自分の言い分を言ってくることも多いでしょう。

 その場合も、親がどちらがいい・悪いと采配しません。

 双方の言い分、双方の気持ちを聞いて、確認する、というスタンスで親が関わるのが状況がこじれないよい対応といえるでしょう。

 親がけんかの決着をつけようとすると、往々にして話がこじれます。
 どうしても、どちらかが悪くて、どちらかがよい、と言ってしまいがちだからです。
 当然、悪者にされた側の子どもは不満をもちます。

 親が決着を付ける必要はないのです。
 けんかした本人たちが納得のいくようにするのが一番よいのです。
 場合によっては、決着する必要がないことも・・・・・。

 親としては、両方の言い分・気持ちを聞く、というどちらの味方でもない中立な立場を貫きます。

 双方の立場でそれぞれの言い分があり、自分の考え方と違うから衝突が起こっているのです。
 あるいは意思の疎通ができていないことで衝突している可能性もあります。

 親が介在することで、それぞれが自分の考え方をしっかり言い表すことができたら、お互いの知らなかった事を知ることになるかもしれません。
 相手の話を聞いていて「あぁ、そうだったんだ!」とわかれば、解決の糸口になったりもします。

 親はその助け役をするだけでよいのです。

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小倉京子(おぐらきょうこ) 親業訓練協会認定インストラクター。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、「親業」のスキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ HP:http://instructorkyokoogu.wix.com/peaceful-commu ご感想・ご質問:instructor_kyoko_ogura★oyagyo.or.jpまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/ http://instructorkyokoogu.wix.com/peaceful-commu

(2017年02月10日)