小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第29回 『小3:「ドッヂボールで79分も逃げたんだよ!」・・・正しさってなに?』

 新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ小倉の子育てコラムにお付き合いくださいませ。

 さて今回も実例をご紹介してお話ししていきます。

 ご紹介する事例は親子間ですが、きょうだいでもこういうことからよく喧嘩になると思うので取り上げてみました。

 今回の事例は、親業訓練協会発行の季刊誌「ヒューマンリレーションニュース」(2013年秋号)からの抜粋です。 ****************************************************************************

 公園で友だちとドッヂボールをして帰宅した息子ジュン(小3)が、とても興奮している。

子  ジュン、すごいんだよ!ドッヂボールで79分も逃げたんだよ!!

夫  79分? そんなわけないだろう、79秒の間違いじゃないの?

子  違うよ!79分だもん!!

夫  79分も逃げられるわけないじゃん、絶対に違うな!

子  そうだもん!

 ― 夫と息子で このやり取りがしばらく続いた後―

子  もういい!!わぁーん!!
(大声で泣き出し、寝ころぶ)

私  (息子の側に行き、しばらく頭を撫でてから)   ジュンはすごーく長い間逃げることができて、とっても嬉しかったんだね

子  (泣きながらうなずく)

私  そのことをパパとママに自慢したかったんだね

子  (泣き止み)   うん!

夫  そうだったのか・・・・・・。ジュン、ごめんね。

子  (嬉しそうに)   うん、いいよ!

 その後、そのときの息子の気持ちについて、夫と話し合いました。きっと「79分」が正しいかどうかが問題ではなく、運動が苦手な息子が、いつも練習しているドッヂボールで長時間逃げ続けることができ、私たちにその嬉しさを伝えたかったんだと。そんな息子の誇らしげな姿に心が温かくなりました。

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 我が家でもこういった些細なことから、子ども同士の言い争いに発展していることがけっこうあります。どんなことを言いたいのか? ではなく、言った内容の正しさにこだわってしまうのです。年上のきょうだいが年下のつじつまの合わない会話を突くパターンが我が家では多いですね。最後はよくけんかになります。

 聞いている側は、言っている内容がおかしいなと感じると正したくなって、そこを突くのですが、話している本人は正しいと思っていたり、伝えたい内容とは違うことに話題をそらされて、嫌な気持ちになったり、もどかしくなったり・・・。

 コミュニケーションは、正しい情報のやりとりが主目的なことも確かにありますが(仕事などの場合はそういうことも多いかもしれません)、人と人とのお互いの理解が一番大事だと私は思います。

  話している本人がどんな事を伝えたくてその話をしているのか?
 話している本人がどんな気持ちを伝えたくてその話をしているのか?

 そこに主眼を置いて話を聞いていると、少々話している情報に変なところがあっても、言いたいことが伝わって来ればそれで大丈夫なのではないでしょうか。

 正しい、正しくない、だけで会話をしていると、とても心が索漠とした感じになってしまいそうです。

 この実例でのお母さんも言っているとおり、「79分」が正しいかどうかが問題ではなく、運動が苦手だったのにたくさん逃げれたのが嬉しかった、その気持ちを話したかったのです。

 そこでこのお母さんは、  

ジュンはすごーく長い間逃げることができて、とっても嬉しかったんだね

とか

そのことをパパとママに自慢したかったんだね

と、お子さんが話で伝えたかった気持ちを確認してみたのです。

 やっとわかってもらえたと感じたこのお子さんは、そこでやっと泣き止みます。

 気持ちを理解しながら聞くこと、大事ですね。

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小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2017年01月13日)