小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第28回 『10歳:発表会前夜、ピアノの練習やりたくないもん』

 今回はピアノの練習の話題です。

 私が開講する親業講座の受講生さんが、受講期間中に実践した対話をご紹介します。 ****************************************************************************

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※画像はイメージです

 明日はピアノの発表会。なのに練習しようとしない10歳の娘。何度か「練習したら?」と促したり、「早く練習しなさい!」と命令してもぜんぜん練習を始めない娘に対して、自分がイライラしていることに気付きました。こんなときは自分の気持ちを「わたしメッセージ」で伝えるといいのだった!と思い出し、そこから話しかけ方を変えました。

親  後でピアノの練習すると言ってたのに、やろうとしないから、お母さんは本当に腹が立つよ。

子  やりたくないもん!

親  やりたくないんだね。

子  やらなきゃいけないんだよね・・・

親  やらなきゃいけないんだと思ってるんだ

子  うん・・・・・・。

 こんな感じのやりとりをしばらくした後、娘はピアノの練習をしに行きました。
あんなに「やりなさい!」って言ってもやらなかったのに、話しかけ方を変えたら練習をやり始めたので、驚きました。

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   ピアノの発表会前日は、やはり親としてはしっかり練習して、当日失敗しないように準備万端にしてほしいと思うものです。

 だから、練習しようとしない子をみていると、親の方がイライラしてきてしまうのですよね。我が子もそうだったので、このお母さんの気持ちもよくわかります。

 失敗すると本人がショックを受けたり、がっかりしたり、恥ずかしく思ったりすることが予想できるからこそ、親としては、そうならないように前日にちゃんと練習するといいのに・・・と思うのです。

 しかし、本人はそれほど本番についての思い入れがなかったり、あるいはその逆で、本番が怖いからピアノに向かいたくない、という思いだってあるかもしれません。

 練習をやる気が起こらない子に対して、促しても命令してもやろうとしない。どんどん親のイライラが募ってくるわけです。

 そんなときは、 親が自分の気持ちをちゃんと表現するのがいいのです。何を嫌だと思っているのかを、子どもにわかるように話します。

・練習をやると自分で言ったのに、なかなか練習を始めないことに腹が立っている
・練習しないと本番うまく弾けるかどうか心配になってくる
など、親が何についてどう感じているのかを、 わたしを主語にして正直に 話してみましょう。

 わたしを主語にした話し方・会話の作り方は 第23回のコラム を参考にされるとよいかもしれませんね。

 私を主語にした「わたしメッセージ」は親への具体的な影響も話した方が子どもの気持ちが動きやすいですが、今回のように親には影響がなくても、親の気持ちを伝えることはできます。

 このお母さんの場合も、やらせようとする言葉から、自分の気持ちを話すことに切り替えたら、子どもも素直に「やりたくない」という自分の気持ちを話してくれました。

 親が正直に話してくれたことを子どもが感じ取れると、子どもも本心を話やすくなるのですね。だから、練習をしたくない気持ちを正直に話してくれました。

  次に大事なことは、子どもが困っていることや嫌な思いを正直に話してくれたことについて、親が耳を傾けたことです。 このお母さんは「やりたくないんだね」と 子どものその気持ちに寄り添い ました。

 だからこそこのお嬢さんは、実は自分が置かれている状況をよく理解していたので、「やらなきゃいけないんだよね」と確認してきたのです。

 更にこのお母さんが素敵なことには、「そうよ、やらなきゃいけないのよ」とすぐに決めつけずに、ずっと子どもの気持ちに寄り添ってあげたことです。「やらなきゃいけないんだと思ってるんだ」と この子の気持ちを理解しようと努めた ことです。

 無理やりやらせようとするのではなく、なかなかやる気が出ないという気持ちを理解しようとしてくれていることがお嬢さんに伝わり、わかってもらえて安心したり嬉しかったりしたのでしょう。そして親との会話中が自分の中で考える時間となったのです。自分で考えた結果、このお嬢さんはやっぱりやらなきゃ! という決意ができたようです。

 親が口うるさく言わなくても、 子どもは親が思っている以上に自分の立場や状況を理解しているもの です。

 そこで親が子どもに行動を押し付けるのでなく、 子どもが行動を考えて選択する余裕と安心感を与えてあげることで、子どもは自ら決断して行動できる のです。

 安心感を与える最も適切なことは、親が子どもの気持ちを理解しようとすること。子どもの気持ちに寄り添うことです。

 そうすれば、一番子どもがよいと思う道を選んで行動していけるでしょう。

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サルからトリへ、バトンタッチ!

 今回のコラムが年内最後のコラムとなります。ここまで読んでくださってありがとうございました。みなさんの親子関係改善に少しでも寄与できていましたでしょうか。これまでのご感想を下(プロフィール内)のメールアドレス宛にいただけると嬉しいです。

 年末年始、家族がみんなそろって過ごす時間が多くなります。温かな時間となりますことをお祈りしております。どうぞ良いお年をお迎えください。

 そして年明けは通常どおり、第2週目の金曜日にまたこのコラムでお会いしましょう。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2016年12月23日)