オピ・リーナ opi-rina
menu
オピ・リーナ opi-rina

サイト内検索

澤田貴美子の「つながる“いのち”」
澤田貴美子の「つながる“いのち”」

第40回 『性の健康』

 今回のコラムでは、前回のコラムでお知らせをさせていただいた、愛知・思春期研究会さん主催の性教育フォーラム「こころとからだの暴力を考える」での学びを、みなさんにシェアしたいと思います。

 11月20日、このフォーラムに参加してきました。
この日は、大阪大学大学院・人間科学研究科の准教授で臨床心理士の野坂祐子先生から、
「こどもの性の健康のためにできること ~こころとからだの視点から~」
をテーマにお話がありました。

 まず「性の健康」とは、どのようなことを意味するのでしょうか。

 野坂先生が主宰されている「子どもの性の健康研究会」のHPでは、以下のように掲載されています。

 『性の健康とは、からだやこころの性的な側面における健康や安全をさします。
性虐待や性暴力などの性被害、デートDVや暴力被害、
予防をしない性行動にともなう性感染症や妊娠、薬物使用やリスクのある性行動、
セクシュアリティに関する悩みなど、
性の健康に影響を与えるさまざまなことがらがあります。
子どもが、自分のからだや性の発達について理解すること、
自分や他者のさまざまなセクシュアリティを受け入れること、
暴力や性暴力から回復するためのサポートが受けられることは、
どの子どもにとっても大切なことです。
子どもの安心感や安全感を高めるためには、まずは信頼できる大人が寄り添い、
話をよく聴いてあげることが必要です。
そのためにも、大人自身が性の健康について理解し、
子どもにとってのサポート役になることが望まれます』

 このセミナーでも、「性の健康」とは、道徳や貞操感のことを意味するのではなく、安全で健康に生きる権利のことだ、とのお話がありました。

 ちなみに、公益財団法人 性の健康医学財団のHPに、性の健康世界学会で採択された「性の健康と性の権利宣言」(2006年3月 日本性化学連合翻訳より抜粋)が掲載されています。

 こちらのHPに抜粋として8つの項目が記されているのですが、この中に、
「あらゆる形態の性暴力および性的虐待を排除する」
という項目があります。

写真

 性暴力や性的虐待は、からだへの暴力だけでなく、こころへの暴力となり、トラウマになりやすく、その後PTSDの発症率が高いと言われています。
子どもが加害者にも被害者にもならないために、私たちに出来ることは何でしょうか。

 それには、子どもの性が健康に発達していけることが不可欠です。
そして、性のことというと、いわゆる「性教育」の時期として、思春期にニーズが高まる傾向にありますが、子どもの性についての学びは、生まれた時から始まっているんですよ、というお話がありました。

 赤ちゃんは、泣きますよね。
不安だったり、さみしかったり・・・
自分を安心させてくれることを求め、「泣く」という行動で、一生懸命それを伝えようとします。
そこで抱っこされることで、その欲求は満たされ、安心することが出来、愛着(アタッチメント)が形成され、この部分がベースとなり、感情の発達、いわゆる「快」と「不快」の中で、「快」を身につけていき、感情のバリエーションが増えていくそうです。

 小さいうちに、からだに触れられる心地良さを感じる体験を繰り返すことで、
悔しいとか、恥ずかしいとか、情けないとか、さみしい、などの感情も、どんどんと豊かに育っていく、といわれています。

 また、ある年齢になると“性器いじり”などを始め、その様子にびっくりされる保護者の方も多いのですが(実際に私もこの相談をよく受けます)、不安な時などに、ふと性器に手が行き、なんだか少し安心する、という行動は、決して叱る必要はなく、
「その部分はとても大切な場所」ということ、
「他の人に触らせたり見せたりしない」ということ、
「その部分を触るのは、ひとりでいる時だけ」ということ、
などをしっかりと伝えることで、性行動のルールを身につけることが出来ます。
「ダメ!」ではなく、落ち着く方法や解決法を一緒に考える事が大切といわれています。

 先生からは、
生活のルールは習うのに、性のルールを学んでいない、というお話もありました。
例えば・・・
「人のおもちゃを取ったらダメ!」とは教えられているけれど、
「人に触られたら、ちゃんと大人に話す」などのルールは教えられていないということ。

 こういったことをしっかりと身につけていくことは、「性の健康」を守るために、とても大切なことですね。

写真

 そして、子どもたちが知らないうちに“性の情報”にアクセスしてしまいがちな昨今、子どもたちを取り巻く環境の中では、かなりの量の性情報があふれています。
その中で、間違った情報も少なくはありません。
子どもたちが間違った情報を入手する前に、正しい情報を伝えていくことも、とても大切なことです。

 それから、先生もお話をされていましたが、「自己決定」の能力がとても大切なわけですよね。「自己決定」の能力とは、「YES」と言うための知識・判断力・行動力・肯定感を身につけていくこと。

 とりわけ、自己肯定感に関しては、諸外国の中でも、かなり低いというデータがあります。13歳から19歳を対象にした、内閣府の調査でも、諸外国に比べて、自己を肯定的に捉えている若者の割合は低く、

 「自分自身に満足している」「自分には長所がある」「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」
などの問いに対しての回答を集計したものを見ても、諸外国の中ではどれも低く、かなり自己肯定感が低いことが想定できるのです。

 「自分ってスゴイ!」
そう自分を認め、自分の存在価値を見出すことで、自己肯定感をしっかりと構築する事が出来、自分自身をさらに大切に、そして、まわりのすべての人を大切に思う心が育つものではないでしょうか。

 イコール、「性の健康」を守ることが出来るのではないかと考えます。
子どもたちを加害者にも被害者にもしないために・・・。

 「誕生学®」のプログラムの中でも、この「自分ってスゴイ!」の部分にフォーカスしていますが、「性の健康」を守るためにも、子どもたちにこの気持ち(自己肯定感)を持ってもらえるようサポートしていくことは、とても大切だと感じるこの日のセミナーでした。

 「性」について大切なことを考えたり、話したり出来るよう、家庭でも出来ることがたくさんあります。

 まずは今から、今出来ることを考えてみませんか?

 次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

(2016年11月24日)

澤田貴美子

澤田貴美子(さわだきみこ)

フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

神野三枝コラム

澤田貴美子コラム

Today's Fotune 今日の占い

Mail Magazine 登録無料

下記フォームより
メールアドレスの登録を行ってください

> 登録 >>メルマガについて
ページトップに戻る