小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第23回 『夏休み、イライラしやすいですね! その2』

夏休みに多くなる親のイライラ。その対応についての第2弾。

 前回は、イライラした時の子どもの行動が親に具体的な影響があるかないかを確認してみましょう、というお話をしました。あるかないかで対応方法が変わるからです。

 第2弾の今回は親に具体的な影響があるとき、どう対応すれば子どもが行動を変えてくれやすいか、その方法を具体的にお話します。

■親へ具体的な影響があってイライラする場合

 親への具体的な影響がある場合、それによってどんな気持ちが起こってくるのかをみてみましょう。子どもの行動は前回と同じ事例でご説明します。

 ●を子どもの行動、▲を親への影響、★を親の気持ちで表すことにします。

●朝遅くまで寝ている

ことの親への影響が

▲作った朝ごはんが無駄になる
ことであったとき

★がっかりする
という気持ちが起こってくる、とします。

これを子どもに 【●子どもの行動+▲親への影響+★気持ち】 で言葉にしてみると次のようになります。

●+▲+★
「朝遅くまで寝ていて、朝ご飯食べないとね、せっかく作ったご飯が無駄になっちゃうでしょ? お母さんがっかりするわぁ」

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ごはんは元気の素!!

 こんなふうに親から言われたら子どもはどう思うでしょう? 怒られた感じはしないでしょうし、あまり嫌な気持ちにもならないのではないでしょうか。

「いつまで寝てるのよっ!いい加減に起きなさいっ!!朝ご飯食べないつもり?」

こう言われた時と比較すると、よくわかりますよね。

■非難しない表現を選ぶ

ほかのケースも同じように親の気持ちを入れて言葉で表してみます。

●いつまでもパジャマ姿でいる
▲今日はパジャマを洗濯しようと思って脱ぐのを待っている。洗濯が終わらない。
★気が重い、すっきりしない

●+▲+★
「いつまでもパジャマでいるとね、パジャマを洗濯しようと思って洗濯を途中で中断して待つことになって、ちっとも家事が終わらないから気が重いわ。まだやることがあると思うと気持ちがすっきりしないの」

 ここで「パジャマ姿でだらだらしている」という表現でない方がよいです。 なぜなら、だらだらという言葉にはその状態を非難する意味合いが入ってしまっています。  子どもの行動を指摘するときに、 できるだけ非難しない言い方で、行動を事実として言い表し、そこにイライラする感情や評価を盛り込まない 方が子どもからの反発が起こりにくいです。

●お手伝いをしない
▲夏休みは私(母親)の家事が増えていて、なかなか減らない
★大変、辛い

●+▲+★
「夏休み中はね、あなた達が1日中家にいるからお母さんの家事がとても増えて大変なのね。みんなの協力がないとお母さんの家の仕事が減らないから辛いわぁ」

パジャマの事例同様、ここでも非難しない表現を選んで話したいですね。

●宿題を最後日まで残し、親に宿題終わるまで付き合ってと言う
▲遅くまで起きていて寝不足になる。朝早いのに起きれないかも。
★困る、辛い、しんどい

●+▲+★
「宿題が最終日まで残ったから、あなたはお母さんに終わるまで付き合ってほしいんだよね。そうすると夜遅くまでになるから寝不足になってしんどいのよ。お母さんは明日の朝早いのに起きられなかったら困るわ。」

 ここでも「そんなに暇そうなのに宿題やらないなんて・・・」とか「いままで散々遊びほうけといて・・・」というような表現は子どもを非難しているので避けたいところです。
 “暇なのに宿題をやらないこと”その1回だけの行動だけでは実は直接的に親に影響はありませんよね。
明日はやるかもしれないし、少し経ったら宿題をやるかもしれないからです。
暇そうにしているけれど、子どもの頭の中には何か計画があって、いついつにやろうと決めているかもしれないですしね。
 親が具体的に困るとすれば、
・「工作の部材が足りないからすぐに買いに連れてって!」と最終日の夜に言いだす
・「風景画を描くからどこかへ連れてって」と最終日に言いだすが親にも予定がある
といったことが発生した場合などが考えられます。

 ですので、最終日まで宿題を残したという状況を想定して上のように会話にしてみました。

 どの事例も、非難がましくなく言葉を選んでいます。
 なぜなら、子どもが行動を変えようという気持ちが自然に起こるためには、子どもが嫌な気持ちにならない必要があるからです。
 叱られて、無理やり行動を変えるのは、親に対して反抗心が湧きます。
 そうではなくて、子どもが自発的に行動を変えようとすることを大切にしたいのです。

写真

 自発的な行動には、恨みがましい気持ちがありません。
 自発的な行動には、困っている親を思いやる気持ちが根底にあります。

 せっかく朝ご飯作ってくれたのに、お母さんに悪いな。
 パジャマ洗おうと待っててくれたんだ、なら協力しようかな。
 そうか、夏休みはお母さん大変なんだ。じゃあ時々は手伝おうかな。
 お母さんが寝不足で体調が悪くなったら大変だ。

上記に書いた会話からは、こんな気持ちが子どもの中に起こる可能性があるのです。

 このような気持ちから自ら行動を変えようとするところには、母親への愛情があります。
 愛情を育むことを可能にする対応がこの表現方法なのです。

■親の気持ちを正直に表現する

「●+▲+★」の表現のうちの★で親の気持ちを表現します。

 ★に入る気持ちが、どれも「イライラ」ではないことに気付かれましたか?

イライラする気持ちもあるのでしょうけれど、一緒にほかの気持ちも起こっています。それを表現しているのです。

作った朝ご飯が無駄になってしまってがっかりするから、イライラしてくるのです。
ちっとも家事が終わらなくて気が重いから、イライラしてくるのです。
家事が多くて辛いから、イライラしてくるのです。
夜遅くまで宿題の付き合いをさせられて困るから、イライラしてくるのです。

 どんな気持ちを子どもに伝えるのか?それによって子どもの受け取り方、感じ方が変わります。

 その感じ方によって、子どもが行動を変えるかどうかも変わってきます。 子どもの心が動けば、行動も変えてくれることでしょう。  子どもの心が動くのは親の正直な気持ちに対してです。

 親が正直な気持ちを表し、親への影響を明確に説明しても、やはり子どもが行動を変えないこともあります。子ども側に行動を変えたくない気持ちが強い場合です。このケースについてはまだどこかで・・・。

 今回は夏休みになって子どもの行動をみていてイライラするときの、親が具体的に影響を受けるケースについて取り上げました。

 親に具体的な影響がない場合については次回のコラムでお話します。 宿題を最終日まで残したわけではなくても、たとえば初日から宿題をやらずにだらだらしているだけでも親はイライラしますよね。 こういったケースについて次回お話します。 実は親がイライラするのはこちらのケースの方が多かったりします。

 では、また次回をお楽しみに。

小倉京子(おぐらきょうこ) 親業訓練協会認定インストラクター。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、「親業」のスキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ HP:http://instructorkyokoogu.wix.com/peaceful-commu ご感想・ご質問:instructor_kyoko_ogura★oyagyo.or.jpまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/ http://instructorkyokoogu.wix.com/peaceful-commu

(2016年08月12日)