澤田貴美子のつながる“いのち”

第32回 『更年期は、女性の誰もが迎える転換期(3)』

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 この東海地方では、平年より3日早い梅雨開けをして、あちこちで子どもたちが夏休みを満喫している今日この頃。
7月ももう残りわずかとなりましたね。
前回 前々回 のコラムで、「更年期」をテーマに綴ってまいりましたが、今回は、このテーマでのコラムの最終回です。

 更年期の症状や対処法には個人差がある、とお伝えしてきましたが、まさに今回のお話もその中のひとつ。
ひとそれぞれ、対処法は様々だなぁ・・・と、しみじみ感じたケースです。

 更年期でお悩みだったある女性、運動療法「メノポーズ・ケア」のクラスの終わりに、いろいろなお話を聞かせてくださいました。

 運動を始めてから、肩こりなどの不快な症状はかなり軽減し、身体の不調は減ったものの、家事がしたくない、掃除も洗濯も、食事の用意も、すべてが苦痛で苦痛でしかたがない、というお話をされていました。
けれど、そんなご自分を「怠け病、こんな自分ではいけない!」と相当無理をされていたようです。
苦痛な気持ちを、ご家族の誰にも打ち明けることなく、ただただ家族のために、心も身体もしんどい中、ご自分に鞭を打って、家事を頑張られていたご様子。

 ある時、そんな積み重ねてきた苦痛の日々に、心と身体が悲鳴をあげたそうです。
そして、突然の家事放棄。
はじめは、ご家族も「何?何が起きたの?」と誰も理解が出来ず、ご主人も、この女性の急激な変化に困り果てていたそうです。

 この女性の中では、決して“急激”だったわけではないのです。
積み重ねて積み重ねて、ずっと我慢して頑張り続けて、そして一気に爆発してしまっただけ。

「急にこうなったわけじゃないんだ。ずっとずっと、辛いなと感じながら頑張ってきてくれていたんだ」
このことに、ご主人が気付いたのは、夫婦の話し合いの後。
「どうして、辛い時に辛いって、言ってくれなかったんだ?」
「どうして、言葉にして伝えてくれなかったんだ?」
ご主人は、そうおっしゃられたそうです。

「言わなくても、気付いてほしかった」
「頑張るしかなかった」
女性は、そう答えたそうです。

言ってくれれば、協力したのに、と思う男性。
言わなくても、わかってよ、と思う女性。
このボタンのかけ違い、産後のご夫婦の間にも、よくありませんか?

  第7回 第8回 第9回 第10回 のコラムでもシリーズで綴らせていただいたテーマ
『産後クライシス&より良いパートナーシップを築く』
こちらにも、かなり共通点があります。

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 産後のご夫婦のみならず、長い間寄り添ったご夫婦でも、やはり男性と女性の考え方は違うモノなんですね。
男性と女性は、いかにこのボタンを上手にかけ合って、お互いを思いやり協力し合えるか、ということが大切。
これは、産後のみならず、更年期にも言えること。
一生同じ、忘れてはいけない大切なことなのかもしれません。

 最終的に、この女性が更年期を乗り越えた大きなきっかけは、運動でもなく、お薬の服用でもなく、
「夫婦の会話と、お互いを理解し合うこと」だったのです。

 どんな時期にでも、大切なのはコミュニケーション。
夫婦のみならず、親子の間でも、言葉にしなければ伝わらない想いは、しっかりと言葉で伝えていきたいな、と考えさせられる出来事でした。

 どんどんデジタル化していく世の中ですが、顔と顔を合わせて、目と目を見て、心と心を通わせるコミュニケーションを大切にしていきたいですね。

次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

澤田貴美子(さわだきみこ) フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

(2016年07月28日)