小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第21回 『親が言うことよりも、することを子どもは学ぶ』

写真

 毎日、日常の生活のことから保育園や幼稚園・学校・習い事のことまで、母親はいろいろな言葉掛けを子どもにしています。

 言わなきゃわからない、とか、
言っとかないと覚えてるか心配、とか、
言ってあげないと子どもが困るから、と
子どものことが気になるがゆえに、母親の言葉掛けは多くなりがち。

 でも知っていますか?

『子どもは、親が言うことよりも、親がすることの方を学ぶ』

ということを。

■親がすることを学ぶ

 どんなに毎日口うるさく言っても変わらないわけですよね。 言っても効果がなく、やったことを子どもが学ぶのですから。

・どんなに”止めなさい!”と言っても止めないと、お尻や頭を叩く
・すぐに言うことをきかないと、大声で叱る
・忘れたり、失敗したりする前に、親がフォローする

 こういったことを親が子育ての中で日常的にしていると、子どもは何をここから学ぶのでしょうか?

・自分の言う通りにさせたかったら、力(暴力)をふるう
・強制的に何かをさせたいときは、怒鳴ればいい
・親に頼ればいい

 およそ親が望んでいないことばかりですよね。 こうなってほしくない子どもの将来像です。子育てに疲れていたり子育てに一生懸命なお母さんほど、普通に上記のような行動になってしまっています。

 ではどうしたらよいのでしょうか。

■子どもとの関係、縦?横?

 ふつう、親は子育てを上下関係で進めています。 よくないことをすると叱る・注意することは、力関係が上の者から下の者に対してする行動です。

 「褒める」という行動も実はこの上下関係の中で発生することです。 「褒める」のは評価です。評価を下せるのは上の立場の人です。 上の立場の親が下である子どもの行動を、上手とかよくできたなど評価を下しているのです。 「褒める」もやり方次第では、行動の動機が評価目的になる、つまりほめられたくてやる可能性があります。 あるいは、「褒めて」うまく操作しようとしている親の下心が子どもに透けてみえると、親子関係はよいものにはなりません。

 親が子どもとの関係を上下で認識している間は、上記のような親の行動(叩く、怒鳴る、先回りして助ける、褒めて操作するなど)をなくすことはなかなか難しいのではないでしょうか。 口やかましく言いたくなるのも、やはり子どもを下に見ていることが関係していることも多いと思います。

 子どもは「ひと」として親と横の関係 である、と受けとめることができると、

・叩くのではなく、話して説明することに変わったり、
・怒鳴るのではなく、親の気持ちを理解してもらおうという対応に変わったり、
・先回りして助けるのではなく、自分でできるだろうと信じていることができる
・上手にできたことを褒めるのではなく、嬉しさや感動を伝えることができる
と思うのです。

 年齢的に小さいと、子どもを弱い者・無知と勝手に思いがちですが、確かに体力的には弱いかもしれませんが、生きる力は充分に持っているし、考える力も親の想像以上に持っているのです。

 先日北海道で小学二年生の男の子が行方不明になって無事助かった事件をみても、そのたくましさ、生きる力・考える力がしっかりあることがわかりますよね。

 親の勝手な思い込みで、子どもの潜在的に持っている生きていく力を発揮できないままだったり、失わせてしまっているかもしれないのです。

■子どもを尊重し、信じる

 子どもを横の関係として捉える、というのは、すぐには難しいことかもしれません。 具体的にどうすれば、横の関係でいられるのでしょうか?

 私は、

●子どもを一人の人として認識し、尊重すること ●心から子どもを信じること

だと思っています。

「いつも悪さばかりして、この子にはいつも口うるさく言っていないとちゃんとできない!」 のではなく、 「この子は何がよくて何が悪いかはちゃんとわかっている、大丈夫」 あるいか 「少しずつものごとの善し悪しを学んでいくだろう」 と思えること。

「いつも忘れ物はないか言ってあげないと、この子はすぐ忘れるからダメなのよ」 ではなく、 「忘れ物をして自分が困ることがあれば、どうしたらよいかを自分で考えらえるだろう」 と思えること。

 あなたが物事の良し悪しがわかるひとであれば、その行動をみて子どもは自然と学んでいます。 だから心配しなくても、大人になるまでにおおよそ一般的なことはできるようになるものですし、判断もできるようになるのです。 大丈夫!

写真

 私が我が子を横の関係として捉えられるようになったのは、まだ小学生でも私にはない感性を持っていたり、私にはない能力を持っていたり、意外な一面などを垣間見たときなどに、自分とは違う「一個人」なんだと感じたから。  親だからってなんでも小学生より自分の方ができるわけではないと気が付いたら、上から目線でいることがなんだか申し訳ないと思ったことがきっかけです。

 相手のすごいところは素直に認め、自分の足りないところも素直に認め、親だからと背伸びをすることなく、素の状態で関われることの快適さを味わったら、上下関係である必要がないことに気付いたのです。

■子どもをまるごと認める  あなたが子どもにしてあげられる、 子どもにとって最高のことは、その子の存在自体を認めてあげること。

「あなたがいてくれるだけで私は幸せ」

と言える存在としてその子を思っていること。 それだけで十分だと思います。(それを言葉で表現できればもっといいですが) それだけで、子どもの心には安心感と幸せが増えていきます。

頑張っているからその子を認める、のではなく、
頑張らなくても、
下手くそでも、
失敗しちゃっても、
その全部を受け止めてもらえると、子どもは本当に安心します。

 親がそんな思いでいられると、親の言動も自然と変わっていくことでしょう。 自分の存在をまるごと認めてくれている親の言動からは、子どもは温かさを学んでいくのではないでしょうか。

 いつも口うるさくなっているなぁと思う方、ご自分がお子さんをどんな風にとらえているのか、ちょっと考える時間を作ってみてください。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2016年07月08日)