小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第20回『「いい子」に育てることに躍起になっていませんか?』

 親は子どもを一生懸命「いい子」に育てようとします。「いい子」にすることに躍起になっていると言っても過言ではないほど・・・。

■「いい子」ってどんな子?
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 親がめざす「いい子」ってどんな子のことでしょう?

・挨拶ができる子
・おもちゃを友達に貸してあげられる子
・食事のとき「いただきます」や「ごちそうさま」が言える子
・よそのおうちに伺ったら「お邪魔します」「お邪魔しました」が言える子
・「ありがとう」が言える子
・ご飯の前に手を洗える子
・学校の宿題を言われなくてもやる子、遊びに行く前にやる子
・親が頼んだお手伝いを文句を言わずにやる子
・朝自分で起きられる子
・親の言いつけを守る子
・目上の人には敬語を使える子
・待合室などで静かに椅子に座っていられる子
・親に口答えしない子
・汚い言葉を使わない子
・親の言ったとおりにできる子

など、たくさん挙げられます。まだまだほかにもいっぱいあるでしょう。これらを端的にまとめると、

親に叱られるようなことをしない子 = いい子 と言い換えることができると思います。さらに言い方を変えると、 親の意に沿う子ども = いい子 という定義がここにはあるように私には思われます。 ■いい子じゃない子と、親はどう感じているか?

 たいていの親は子どもが親の意に沿わないことをすると、叱ったり、注意したりします。
 場合によっては子どもの存在自体を否定するような表現になっていたり。
「ほんっとバカだね、あんたは! どうしてそれぐらいわからないのよっ!」
といったように。

 また、

・いい子じゃないと親が恥ずかしい思いをする
・ちゃんとした子じゃないと育てている親が悪いように世間で思われる

という気持ち、どこかにありませんか?
 子どもがいい子かどうかで、親の真価をを測られていると感じてしまうのです。
 自分の親としての立場を悪くしないように、親の役割を正しく勤めていると証明するためにも、子どもにいい子になってもらわねば・・・と躍起になっている可能性はないでしょうか。
 子どもが将来幸せになるためには、いい子であることが一番の条件だと信じて疑わない場合もあるでしょう。
 親がこのように感じている場合には、いい子にならないとその子自体を認めない、受け入れない、という気持ちになっていってしまうことがあるのではないでしょうか。

 たとえば、私の話。
 もうずいぶん前の話にはなりますが、我が子の小学校の個人面談で、授業中に指示を聞いていないことがある、とか、宿題を学校でやっていることがある、と担任の先生から指摘されたことがありました。
 その時は親として子どものしつけができていないと責められているように感じ、親として恥ずかしいような気になり、先生の前で親にこんな思いをさせる我が子をうらめしく思ったことがありました。
 子どもの欠点を指摘されると、親がダメだといわれているように感じてしまうのです。
 だからちゃんとした子でいてほしいと当時は思ったものです。
(今ではこう感じることはほとんどなくなりましたが・・・)

■条件付きの愛情

・「いい子」にしていればその子をイライラせずに見ていられる
・「いい子」にしていればその子の言うことを聞いてあげようと思う
・「いい子」にしていればその子を愛おしいと思う

・「いい子なら・・・」という条件付きの愛情。

 たとえ親がこれらの気持ちを言葉にしていなかったとしても、子どもは親に対してとても敏感なので、言わなくても感じ取ってしまいます。
 言葉にしなくとも、ちょっとした表情や態度に表れてしまうものですし。
 いい子じゃない自分を親は好きじゃないかもしれない、疎ましく思ってる、と感じる。
 親の思う通りにできない自分は、居ない方がいいんじゃないかと思ってしまったり、親をイライラさせる自分は悪い子なんだと思い込む。
 自分の思いには蓋をして親の意に沿うように一生懸命行動することで、自分を受け入れてもらおうと必死になる。
 そして自分らしさを見失う。

 最初に挙げた「いい子」の項目がすべて満たされている子が親の満足できる「いい子」なのだとしたら、この世の中にそれをクリアする子はいったい何人いることでしょう?
 はたしてその子は本当にそれで幸せに生きているのでしょうか?

 少なくとも子どもの頃の私はいい子から外れそうです。
 親に「ありがとうは?」と言われて「ありがとう」と言っていましたし、無理に言わされたことを恨みがましく思っていました。
 お手伝いはいつも嫌々していましたし(笑)、よく口答えしていましたから。
 かなり大きくなってからも、親から「あなたはいい子だけれど、口答えするのだけがイカン!」と叱られていました。
 その言葉を聞いて、親から否定的な意味合いしか伝わってきませんでした。

■幸せになる条件って?

 いい子に育てたい、と思う親の本当の希望はいったい何なのでしょうか?

 結局のところ、親は子どもに 幸せになってほしい のではないでしょうか。

 そして、その幸せになる条件が「いい子であること」だと信じているのではないでしょうか?
 しかし親にとっての「いい子」は必ずしも子どもの幸せとイコールで繋がらなさそうです。
 子どもが反発することからも、それがわかるのではないでしょうか。

 では、幸せになる条件ってなんでしょう?

 私が考える子どもが幸せになる条件は

・子どもの心が安心で満たされていること
・子どもが自分の存在を大切に感じていること
・子どもが自立していくこと

だと思っています。
 日常のこまごまとした一つ一つのことができる・できないではなく、子どもの心がどれだけ安定しているかで、現在そして将来の幸せ感も変わると思うのです。
 自立は心が安心で満たされていれば、自然と起こってくるとも思います。

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 子どもの心の安定には、無条件の愛情が必要です。
 どんな自分でも大丈夫と思っていてくれる人の存在が必要です。
 それが家族ならなおさら安心感が増します。

  どんな自分でも愛していてくれる(=無条件の愛) と感じると、子どもはとても安心できます。
 強くなれます。
 優しくなれます。
 自己肯定感がしっかりとできてきます。
 そして自分の信じた道を歩んでいく勇気が湧いてきます。

 こう書いている私自身も、時には子どもの日常のできる・できないに心が揺さぶられ、不安になってしまうことがあります。
 こんなことができなくて将来大丈夫かと。
 本人はへっちゃらなのに親が不安になるんですよ(笑)。
 そんな時はこの視点に立ち返って「これはこの子らしさ、大丈夫」って自分に言い聞かせたりしています。
 親がまずその子のすべてを受け入れてあげること、これは親にとって難しかったりもしますが、これこそ幸せの土台だと思うのです。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、自身が伝える子育てのスキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2016年06月24日)