小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第16回 『保育園に行きたくない!と泣く。どうすればいいの?』

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春ですね、チューリップも見ごろ

 年度替わりの4月のこの時期、環境の変化から子どもが精神的に不安定になりやすいですね。

■幼稚園・保育園に行きたくない!

 実は私の家のお隣が保育園なのですが、この時期は子どもの泣き叫ぶ声がしばらく続きます。保育園に行きたくなくて、必死で抵抗している姿を毎年たくさん見かけます。

子 嫌だぁーーっ!行きたくないーーっ!(泣き叫ぶ)
親 行けばおもちゃいっぱいあって楽しいよ!
子 嫌だぁーーっ!行きたくないーーっ!(泣き叫ぶ)
親 美味しいごはんだって食べれるよ!ほらっ、行くよ!
子 ごはん、いやだぁーーっ!ごはん、いやだぁーーっ!(もっと泣き叫ぶ)
親 いいから、行くよっ!(無理やり引きずっていく)
子 ごはん、いやだぁーーっ!ほいくえん、いやだぁーーっ!(更に大きな叫び)

親はなだめすかしたり、強引に引っ張っていったり、四苦八苦しています。

 我が子もそういう時期がありました。私もその頃はまだ親業を知らなかったので、なんで行きたくないのか問いただしたり、「行けば仲良しの友達がいるでしょ」ってなだめたり、「今日のおやつ何かなぁ」って気をそらせようとしたり、必死で連れて行こうとしていました。関係が壊れやすいといわれる『お決まりの12の型』( 第1回 第2回 第3回 のコラム参照)をとっかえひっかえ使って、なんとかこの状況を打開しようと試みていたんですね。

 我が家の場合も、上のようなケースも、「仕事の時間があるから早く園に預けたい!」というこれだけの思いです。とにかくこの大変な状態を早く収集したい、ということに意識が集中していますので、子どもの気持ちには全く意識がいっていないのです。

 この状況は、間違いなく子どもが嫌な気持ちを抱えている、どうしても行きたくない!と子どもが問題を持っています。一方、親も仕事に遅れると困る、という状況。

このとき「保育園に行きたくなくて泣き叫ぶ」という子どもの行動をみてどう感じるか、自分の気持ちによく向き合ってみましょう。

●親がどうしても泣き叫ぶ状況は受け容れられない、嫌だ、なんとかしてほしいと思えば、『わたしメッセージ』を使っていけますし、
●子どもの嫌だという思いを解決することを優先したいと思えば、「能動的な聞き方」を選択していくことができます。

 引きずっていくのはよくない、とか、行動の是非や指示、判断は親業ではしません。子どもの言動を目にした時に起こる親の気持ちを探っていき、その気持ちを基に対応を選択していきます。

■泣き叫ぶという子どもの行動が受容できない時
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 保育園に行きたくないと泣き叫び始めて、泣き止まない子どもの行動が、親にとって受け容れられない場合は、親は自分の気持ちを子どもに伝える方法『わたしメッセージ』を選ぶことができます。

 なぜ、泣き叫んで登園を嫌がると親が非受容な気持ちになってしまうのか?

 ⇒仕事に遅れるから。遅れると怒られるから。遅れると迷惑をかけるから。遅れるとお給料が減るから。

というのがこのケースでのお母さんの理由になりそうです。では、仕事に遅れるとどんな気持ちが起こるのでしょう?おそらく、

 ⇒困る、焦る、辛い

などという気持ちでしょう。これらのこと

●子どもの行動 (子どもが泣き叫んで園に行くのを拒む)
●親への影響 (遅刻・叱責・迷惑・減給など)
●その影響からどんな気持ちが起こったのか (困る・焦る・辛い)

を、子どもに伝えるのです。

 「あなたが泣いちゃって保育園に行かないと、仕事に遅刻しちゃうから、とっても困るの。遅れるとお母さんがすごく怒られるから辛いのよ」

これが『わたしメッセージ』です。無理やり引きずっていくと親の冷酷さ・親の無理解が子どもに伝わってしまいますが、『わたしメッセージ』で伝えると、子どもの行動で親が困ってしまうという気持ちが伝わります。

 ただし、泣き叫んでいる状態であると、子どもの気持ちはかなり高ぶっているので、おそらく親の話を聞くどころではないしょう。こういったケースでは、次で説明する『能動的な聞き方』で子どもの気持ちが少し静まるのを待って、それから『わたしメッセージ』を言った方が、効果があるといえます。

■子どもが困っていると判断した場合

 保育園に行きたくなくて子どもがとても辛い思いをしている、つまり子どもが問題を抱えており、なんとか解決できるといいなと親が判断した場合は、『能動的な聞き方』ができます。

子 嫌だぁーーっ!行きたくないーーっ!(泣き叫ぶ)
親 そう、行きたくないの
子 行きたくないーーっ!(泣き叫ぶ)
親 行くのが嫌なんだね。
子 うん・・・。(少し落ち着き気味)
親 お母さんと離れるのが寂しんだね。
子 うん。 (ちょっとホッとした表情に変わる)

という親の対応の仕方が『能動的な聞き方』です。これには次の3種類の言い方があります。

●繰り返す 子どもが言った言葉そのままを言う 「行きたくないの」
●言い換える 子どもが言った同じような意味で言う 「行くのが嫌なんだね」
●気持ちを汲む 子どもの気持ちを汲んで言う 「お母さんと離れるのが寂しいんだね」

といった言い方で子どもに寄り添いながら聞いていきます。

 始めに書いた会話のような『お決まりの12の型』の言い方では、子どもは行きたくない気持ちを親は分かってくれてないと思い、子どもの気持ちがどんどん高ぶってしまいますが、この『能動的な聞き方』ですと、親の理解が子どもに伝わり、気持ちが落ち着いてきます。人間はひとに自分が理解してもらえたとわかると、安心するからです。気持ちが落ち着けば、『わたしメッセージ』で親の気持ちを伝えれば、理解して行動を変えてくれる可能性も出てきます。どうして行きたくないのかの理由を親に話し始めるかもしれません。そこから子どもなりの解決策を見出していくことでしょう。

 実際にこの『能動的な聞き方』をしてみると、これまでいかに逆効果な対応をしてきたかがよくわかります。最初の会話のように、親が言えば言うほど子どもの鳴き声が大きくなり、余計になんともならなくなる、という状況はどなたも経験したことがあるのでは?

■小・中・高校生だって同じ

 今回は事例として保育園の登園を上げましたが、小学生も中学生も高校生も、新たな環境が不安、気楽な春休みが終わってまた学校が始まる憂鬱感があったりなど、やはり行きたくない思いが起こりやすいのは同じ。

 子どもの様子を見ていて、そのように親がみて取れたとき、子どもに寄り添って自分で解決できるようにサポートしたいと思えば、『能動的な聞き方』ができます。

 もう年齢的に大きいからわかっているだろうと親が思って

親 行きたくない!なんて許されるわけないでしょ!
親 いいからとにかく行きなさい!
親 一度行ってしまえば、友達と会えて楽しいって思えるわよ。
親 今度のクラスは可愛い子(かっこいい子)がいるかもよ。

という言葉を子どもが問題を抱えている時に言ってしまうと、これらは『お決まりの12の型』ですので、親子関係が壊れやすいですよ。ご注意を。

 五月病なんていう症状も、もしかしたら、この時期の親のちょっとした心がけで軽くなったり、なんとか乗り切れたりする可能性もあります。年齢が大きなお子さんの場合も、親がなにげなく横からサポートできるといいですね。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2016年04月22日)