小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第12回 『ご主人と喧嘩になりにくい接し方』

 子育てコラムではありますが、今回は子どもではなく、ご主人との関係を取り上げます。快適な子育て環境という点で、夫婦の関係を無視することはできませんからね。

 子育ては、母親がやるもの、のような風潮があります。昔に比べれば随分父親が参加することも多くなってきたとはいうものの、熱が出た、とか、保育園・学校の行事ともなれば、まずは母親の出番、となってしまうご家庭が多いでしょう。

■お母さん、頑張り過ぎていませんか?

 今は働いていらっしゃる母親が大半なので、仕事も頑張る、子育ても頑張る、家事も頑張る、とあらゆる場面で頑張りすぎてしまっていないでしょうか?

 頑張り過ぎていると、どこかでどうしても歪がでてきます。“こんなに頑張っているのに!”とか”なんで私ばっかり”とご主人に対する恨みがましい気持ちが起こってきやすくなったり。もっと協力してほしいのに!という気持ちが本当のところでしょう。

 忙しすぎると、気持ちに余裕がなくなって、あらゆることに対する許容範囲が狭くなり、イライラしやすくなってきます。

 不満を抱えたとき、なにも我慢する必要はありません。どうぞ、その気持ちを言葉で表現してください。溜め込むのはよくありません。

■関係を壊さない、不満の表現の仕方  でもできれば、 関係を壊さないように、言葉にしたいものです。

 これが肝心なのです。イライラや不満な気持ちを持つことは悪いことではありません。人間らしい、そのままの姿なのですから。そしてイライラする状況が解消されれば、気持ちは落ち着き安定するわけですから、なんとか解決したいですよね。あなたがイライラしないようにご主人が行動を変えてくれるようにしたいなら、ご主人があなたに対して反発心を起こすような言い方は効果的とは言えません。

 例えば、
「なんで、あなたはいつも子どもの病気の時には知らんぷりなのよっ!!」
という言い方は、言われたご主人がとても嫌な気持ちになるのが想像できますよね。これでは、残念ながらご主人は行動を変えてくれるどころか、
「子どもの病気ぐらいで休みなんか取れるか!!」
と逆切れされて、夫婦げんかに発展!なんてことに。

 これを、 関係が壊れにくい言い方=『わたしメッセージ』 に変えると 「子どもが熱を出すと必ず私が連れていく、というのは、なんだか私ばかりに負担がかかっていて、不平等な感じがするわ。年に何度も仕事に遅刻していくっていうのは、なかなか気が重いのよ。」
とか
「明日の子どもの通院で、私、仕事に遅刻するのはとても困るの。明日は朝一番で大事な会議があるのよ」

と言うのとでは、きっとご主人の対応にも違いが出てくるでしょう。
ポイントは、 わたしの気持ちを伝える 、という視点に立って表現することです。この場合は、「不平等感」「気が重い」「とても困る」という気持ちを伝えています。

 これに対して、言われたご主人が怒りだしそうな言い方は、『あなたメッセ―ジ』といい、「あなた(相手)」について語り、責めたり決めつけたり命令したりする言い回しです。

■より理解してもらうためには

 『わたしメッセージ』のもう1つのポイントは、何に困っているか、不満なのかを明確に事実だけ言うことです。相手が何を変えればいいのかがわからないと、行動を変えようがありません。

 更には、相手の行動でどんな影響を受けているかを具体的に言えると、相手が行動を変える動機になりやすいです。

 別の事例をあげますと、
「たまには子どもと遊んでやってよ!なんでいつも私に押し付けるのよ!」
という言い方と
「今日はとても疲れてて子どもと遊べるほど元気じゃないの。あなたが子どもに“お母さんと遊んでおいて”と言って子どもが私にせがんできても、とても気力が出ないわ。遊ぶどころか子どもを怒っちゃいそうで・・・」
という言い方との違い。前者があなたメッセージ、後者がわたしメッセージです。

 必ずしも解決するとは限りませんが、言われた側がどう感じるか、という点では、売り言葉に買い言葉で喧嘩になってしまう言い方と、そうではない話し方、という違いは明確ですね。場合によっては、相手にも言い分があり、反発してくることもあるかもしれませんが、少なくとも、私の気持ちを伝える『わたしメッセージ』は、私の状態をよく理解してもらえる言い方です。(『わたしメッセージ』は 第5回目 第6回目 のコラムでもご覧いただけます)

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まもなくひなまつり。お雛様のように仲むつまじく・・・

 言わなくても分かる、というのは日本人の美徳のように言われてきましたが、言わないとわからないのが本当のところ。“イライラをぶつける”というやり方以外の方法で「わたし」を正直に表現して、自分を相手に理解してもらうことも、関係性を良好に保っていくうえで大切なことです。ボタンの掛け違いで、全く意思の疎通が図れなくなった家庭は、毎日生活する場としてはとても辛いものでしょう。特に家族の基本である夫婦間の関係は、子育てをする上で一番大切にしたい関係であることは言うまでもありません。関係を壊さないように、関係を深めながら、子育てを協力してやっていけるといいですね。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2016年02月26日)