小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第7回 『朝起こしても起きてこない!』

 「朝、子どもを何度も起こしに行くのに、ちっとも起きてこない!何度も面倒!」

 こういうお母さんの声、かなりたくさんの方から「うちも!!」と手が挙がりそう(笑)

 実際にあったお話を元に、こういう状態のときにどう対応していくのかを今回は取り上げていきましょう。

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 まず、あるご家庭で実際にこんなふうにお子さんに訴えていました。

 「朝○○ちゃんが起きてこないと、何度も何度も起こしに行かなくちゃいけないのよ。もう勘弁してほしいわ」

 この訴えを何度もしたそうですが、一向に子どもの行動は変わらないとのこと。

 親業勉強会のときに、親役子役になってロールプレイをしていただき、親役の方にこの会話を言ってもらい、子役の方にどう感じたかを伺ったところ、「責められている感じがした」そうです。この会話を実際にした方は親業を学ばれた方だったので、自分の気持ちを『わたしメッセージ』(これについてお知りになりたい方は 【第5回コラム】 【第6回コラム】 をご覧ください)で伝えたつもりでした。『わたしメッセージ』は言われた子ども側が叱られた、責められたと思いにくい言い方、とされています。それなのになぜ、責められた感じがしたのでしょうか?

 「勘弁してほしいわ」という言葉が、親の気持ちとして使われていますが、同じようなほかの言葉で言いかえると、「もういい加減にして」に近いですよね。この言葉を言われると、やはり叱られている感じがしても仕方ないですし、「いい加減にして」は私の気持ちではないですね、『あなたメッセージ』です。「あなた、もういい加減にしてよ」なわけです。『わたしメッセージ』だと思って言っていたのは実は『あなたメッセージ』だったわけです。ここで、「“勘弁して”以外の気持ちの表現はありますか?」と尋ねると「困る」という気持ちをおっしゃっていただきました。そこで、また会話を作り変えました。

 「朝○○ちゃんが起きてこないと、何度も何度も起こしに行かなくちゃいけないから、困るな」

 これを言われて子役の人がどう感じたかを再度訊くと、「さっきのように責められてる感じはしないけれど、やっぱりちゃんと起きようという気にはならない。ふーん、っていう感じ」、とのことでした。

 ふーん、って聞き流す程度、ということは、「何度も起こしに行かなくちゃいけない」という親への影響は特に子どもにとっては大したことだとは思えない、ということなんです。頑張って自分で起きる気になるほどの動機付けにはならないわけです。

 そこで、更に当のお母さんに訪ねました。「どうして“困る”んですか?困るのは何度も起こしに行くからだけですか?ほかに困ることはないですか?」。すると、出てきました。「起こしに行くことで家事の手を止めなくちゃいけないし、それで朝の支度が遅くなって仕事に遅れると困るんですよね」とのこと。そう、本当はそれで困っているんですよね。それが本当の母親への影響でした。だからこれを『わたしメッセージ』の会話に入れて作りあげていただきました。

 「朝○○ちゃんが起きてこないと、何度も何度も起こしに行かなくちゃいけないでしょ。起こしに行くことで家事の手を止めなくちゃいけないし、それで朝の支度が遅くなって仕事に遅れたりしたら困るんだよね」

 これでロールプレイをやっていただき、子役の方の感想を訊くと、「あぁ、そういうことで困ってたんだぁ、と納得しました。もしかしたら自分で早く起きようと思うかも」とのこと。最初の2つの言い方と全然感じ方が違ったんですね。『わたしメッセージ』を言ったときに、親への影響の内容がどれだけ子どもが納得するかどうか、で行動を変えるか変えないかが違ってくるということです。更に、親もどれだけ本当のことを正確に子どもに伝えるか、ということが大切です。表面的なことだけでなく、真実を正しく伝えること。真実には説得力がありますから。

 さて、勉強会内のロールプレイだけでなく、実際にこの件で困っていた方々が、早速家に帰ってこの言い方で子どもに話をしたそうです。そうしたら翌朝、本当に子どもの行動が変わり、何度も起こすことなく起きてきたそうです。

 この話、 【ブログ】 にも掲載しています。そちらでは違った切り口で、体験者のリアルな声をそのまま載せていますので、よかったらのぞいてみてくださいね。

 次回は、今年最後のコラムとなります。まだご紹介していない種類の『わたしメッセージ』をお伝えします。お楽しみに♪

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小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2015年12月11日)