小倉京子の「子育てにも“コツ”ってあるんです」

第5回 『ピアノの練習・塾の宿題、なかなかやらない、と困っていませんか?』

 お稽古に通っているお子さんはとても多いですよね。学習塾・ピアノ・サッカー・水泳・ダンス・バレエ・習字etc、習い事だけでウイークデーのすべてが埋まっている子もいます。

 習い事をすると、ものによっては家で練習や宿題をやる必要があるものもあります。すると、多くの場合そこで親子の衝突が発生してきます。

 「今日はピアノの練習やった?なんでやらないの?早くやりなさい」
 「塾の宿題やってからしか遊びに行っちゃだめよ」
 「次の昇級テストはちゃんと受かるように練習(勉強)しなきゃだめじゃない」

 と口うるさく親は言ってしまいます。毎日毎日同じ言葉をお子さんに言っているお母さんもきっと多いでしょう。かく言う私もそうでした。(親業に出会う前の私です)

 ・ピアノを習っているなら、毎日練習するのが当たり前
 ・練習もしないのにお稽古に行くのは月謝の無駄遣い
 ・習いたい気持ちがあるなら、普通は自分から練習するでしょ!

 という思いが私の中にあったのですね。

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 でも、毎日毎日「ピアノの練習やらないの?」と言い続けていたときは、本当に毎日子どもと衝突ばかり。言うと必ず子どもが反発するからです。あるいはすごく嫌々練習する。その態度を見て余計に私がイライラする、という悪循環・・・。“うちも同じだわ”と思われるお母さんも多いのでは?

 子どもが練習しない、宿題をしない、という状態をみて親がイライラする。

 なぜ、イライラするのでしょう?

 ・通っている成果を出して欲しい、ちゃんと練習(勉強)して上達してほしい
   →少しでも多くのことを身につけることはきっと将来その子のためになる
    あるいは、才能をその中から見つけられるかもしれない
    つまり子どもの将来を気に掛けている、心配している
 ・通っただけの成果が出ないと、お金を無駄にしているようで悲しい。

 こんな思いが親の本音としてあるのでしょうね。月謝がもったいないのは別にして、子どものためを思うから、なかなかやらない子どもが心配になってくる。

 「やりなさい」「なんでやらないの?」という言い方では、親の悲しいと思う気持ち、親が子どもを心配している気持ちが伝わりません。もし、親の気持ちを正直に伝えるとしたら、こんなふうになります。

 「塾の宿題すると、たくさんのことが○○君の身に付くから、それが将来○○君が大きくなったときに助けになると、お母さんは思ってるんだよ。知識が足りないことで苦労しないように、○○君の将来を気に掛けているんだよ」

   →宿題をすることがどんな意味があるか、それを子どものためだと思っている親の気持ちを
    分かりやすく伝えています。イライラしていない、親が気持ちが落ち着いているときに伝え
    ると効果的です。

 「ピアノを習いたいと言った○○ちゃんが練習していないと、月謝がもったいないなって、お母さん悲しくなるよ。一生懸命働いて得たお金だからね」

   →親の気持ちを正直に「悲しい」と表現しています。イライラの奥には、もっと隠れた本当の
    気持ち、この場合は「悲しみ」があるんですね。イライラをぶつけるのではなく、その奥の
    気持ちを子どもに伝えます。親はお金を大切にしたいと思っていること、そうではない状
    態を悲しんでいること、がストレートに子どもに伝わり、子どもが理解しやすくなります。
    理解できると子どもが行動を変えやすくなるのです。

 どちらも「イライラ」や「怒り」という形で伝えていないので、子どもは親の言葉を反抗心を持たずに受け取れます。そして、親である「私」がどう思っているかを伝えているので、子どもは自分が非難されている感じがしないのです。これを親業では『わたしメッセージ』と呼びます。“私”を主語にした話し方です。

 ただし、これはやらせるための方法ではありません。やるか・やらないかの行動選択は子どもの責任として残されています。親の気持ちを聞かされても、それでもやらない、と思えば行動は変えないでしょう。子どもには子どもなりの考え・思いがそこにあるのです。コミュニケーションは親の思い通りに子どもを操る道具ではない、ということを心しておく必要があります。コミュニケーションが円滑になることは、お互いのことがよく理解できるようになること。自分のこともわかってもらいやすくなり、相手のこともよく理解できるようになる、ということです。

 次回は、この話の続きで、親の気持ちを聞かされても、それでもやりたくない子どもの気持ちへの対応についてお伝えします。

小倉京子(おぐらきょうこ) ピースフルコミュニケーション代表・心理カウンセラー。自身の育児経験(3児の母)を生かしつつ、臨床心理学者トマス・ゴードン博士の唱えるコミュニケーション・スキルをベースに、あたたかい親子関係をつくっていくポイントをわかりやすくお伝えしていきます。 ブログ:http://ameblo.jp/hotto-mama/ ご感想・ご質問:peaceful.communication.family★gmail.comまで。(★を@に変えて送信してください) http://ameblo.jp/hotto-mama/

(2015年11月13日)