神野三枝の誰ともかぶらない大人のおもてなし 人気パーソナリティ・神野三枝さんによるおもてなし流儀。手土産、おもたせ、レストランなど、人とはかぶらない大人のおもてなしをコラムでお届けします。

第11回 『小や町の献上飛騨牛弁当』

 辿り着くと、まるでどこでもドアを開けたような特別な景色が広がっていました・・・。

 深い歴史と豊かな自然に包まれた名古屋市緑区鳴海町、その竹藪に現れる静寂な佇まいが、和食界の奥座敷「おしょくじ處 今(こん)」です。同じ名古屋市内であるのに、ずいぶん遠くに旅に来たような錯覚を覚える、日常の喧騒を忘れさせる異空間です。

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 初代店主である故・今日出夫(いまひでお)さんがその地に店を構えたのは平成9年のことでした。もともと寿司職人として長年の修行と下積みを経て昭和49年に緑区曽根で「天ぷらの今(こん)」を営んでいた日出夫さん。その腕前と店主の人柄は評判を呼び、店は連日大繁盛。その時に考えたのです。今以上のおもてなしをするために、メニューに合った空間が必要だと。そこで50歳を迎えた節目の年に、長男の建二(けんじ)さんを右腕に店を移転することを決意。選んだ地が鳴海町細根の竹藪でした。そこに150年前に建てられた江戸時代の商家を丸ごと移築し、冒頭の異空間「おしょくじ處 今(こん)」を作ってしまわれたのです。大手外食産業でも真似できないそのスケールは、和食店の個人店主が構想を描くには、あまりにも大きなものでした。

「おしょくじ處 今(こん)」外観
「おしょくじ處 今(こん)」外観

 しかし、その並外れた店主の気概はファンの心を打ち、ますます多くのお客様に愛される店へと成長して行ったのでした。

 「今」完成から8年、平成17年に「今」の敷地奥に、姉妹店として建二さんの店「日本料理 小や町(こやまち)」を開業。誰の目にも順風満帆に見えた日出夫さんでした。ところが平成26年、突如日出夫さんの身体は病に侵され、治療の甲斐もなくわずか4ヶ月で早すぎる生涯に幕を閉じたのでした。 偉大なる父を亡くし、2代目店主となったのが長男今建二(いまけんじ)さんでした。

 
2代目店主 今建二さん
2代目店主 今建二さん

 亡き父、日出夫さんには5人の子供がいました。父はまるで「基盤は作った、あとはお前達に任せた」と言わんばかりに後進に道を託し、遺された子供達は現在それぞれの持ち味を生かして父の築いた暖簾を守っています。

 訪れるもの誰もが心奪われる異空間には、短くも熱く生き抜いた料理人今日出夫さんの魂が込められていたのです。

 
小や町の店頭にて、事務長の今浩司(いまこうじ)さん
小や町の店頭にて、事務長の今浩司(いまこうじ)さん

 「日本料理 小や町」に食通の間で絶品と評判のお弁当があります。厳選された最高級の飛騨牛を惜しみなく盛り込んだ「献上飛騨牛弁当」です。これを食せば、しばらくもう肉は食べなくていいと思わせる格別、とびきりな絶品です。行楽の秋、芸術の秋、先様への手土産にこれほど上質なお弁当の差し入れは、なかなかお目にかかることはできないでしょう。召し上がられたお相手の唸る姿が目に浮かぶようです。

 
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 ―最後に2代目店主 建二さんにお聞きしました。おもてなしとは何ですか?

 「大切な人をお連れくださったその方に恥をかかせないことです。それは味や接客マナーだけでなく、この時間この空間にいてくださるすべての関わりに神経を注ぎ、お連れされたお客様が満足してお帰りくださるよう懸命に勤めることです。先代は言いました。お客様を大切に。閉店間際でも暖かくお迎えできる店であれ、人であれと。」

 大切なお客様を異空間にお連れしてもよし、お弁当で上質な真心をお伝えするもよし、いづれにしても自分と同じ気持ちで先様を大切に思い、丁重におもてなしをしてくださる店こそ、信頼のできる店と言えるのです。

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誰ともかぶらない大人のおもてなし

「日本料理 小や町の献上飛騨牛弁当」

 3240円(税込)ご注文は小や町までお電話で。

『日本料理 小や町』

愛知県名古屋市緑区鳴海町細根16-9
【TEL】 052-624-7801
【昼席】 午前11時30分~午後2時(オーダーストップ午後1時30分)
【夜席】 午後5時~午後10時30分(オーダーストップ午後9時30分)
【定休日】 火曜日、第1・第3水曜日
【ホームページ】 http://www.oshokuji-kon.co.jp

※団体、婚礼など大人数でのご要望も可能です。
 「今」と「小や町」はそれぞれに魅力がありますので、用途に合わせてご利用ください。
詳しくはホームページで。

(2015年09月07日)