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神野三枝の「誰ともかぶらない大人のおもてなし」
神野三枝の「誰ともかぶらない大人のおもてなし」

第10回 『洋風割烹Corrie’s(コーリーズ)』

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異端児とは、その世界で主流に属さず、特異な存在として注目を集める奇才に用いられる言葉です。 私がその異端児に出会ったのは今から16年前。名古屋の飲み屋街、住吉(すみよし)の路地を入った、知らなければ絶対にたどり着くことのできない暗くて狭い通路、そこに周りの風景とは到底そぐわない赤いドアがひっそりと鳴りを潜めて居ました。 まるで不思議な国のアリスのような世界だったのを覚えています・・・。 その異端児とはオーナーシェフの郡山義浩(こうりやまよしひろ)氏。
コーリーズ オーナーシェフ 郡山義浩さん
コーリーズ オーナーシェフ 郡山義浩さん
店名はオーナーの名前から付けられたと容易に推測できるコーリーズ。 要するに「ここは郡山の世界です」という、そのままの店名の洋風料理店です。 たぶんフレンチなのでしょうが、長年シェフに接していると、シェフの世界が強烈すぎて、フレンチとくくってはいけないような気がするので、洋風料理店と書きます。私はこの店でメニューを注文した覚えは一度もありません。アレルギーのある食材だけを伝えると、あとは完全にお任せで、唸るほどの料理を「どうだ!」と言わんばかりに出してくださいます。こう書くとシェフがとても傲慢に聞こえるかもしれませんが、そうではなく、奇才だから素人が口を挟む状況にないという意味です。 それを物語るように、コーリーズには北海道から沖縄まで、全国から常連のお客様が来店し、芸能界、政財界にも多くのファンがおられ、予約が入りお迎えすると、お顔を見て、大変な有名人でビックリすることもあるとか。 いったい、そこまで惚れられる腕の持ち主とは・・・、とにかく謎に包まれた人物には間違えありません。
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遡ること幼少期、熊本の街中で生まれた郡山少年は、小学生の頃から、お小遣いを貯めては、美味しいお店の食べ歩きをする相当変わった子供でした。とはいえ、シェフになる夢を持っていたわけでなく、ただ美味しいものに興味をもっていただけの子供で、その後就職をする年齢になると、堅実に公務員という道を選び、名古屋市消防局に就職しています。 ところが5年後、23歳の時に転機は訪れ、一転、飲食業界に身を転じ、洋食を一から専門的に学び、修行の日々に身を投じたのです。この時、彼の人生に何があったのかを知る必要はなく、本来生まれ持った天命に軌道を整え直しただけのことと、私は深く追求する気持ちになりませんでした。 そして30歳で自分の店を持ち、コーリーズの第一歩を旗揚げしたのです。その地で6年、移転して14年、場所を移ろうがお客様が付いて来てくださる理由はただ一つ「郡山さんの料理が食べたいから」。それはすべての料理人が目指す、ただ一つの高見です。 そして2013年、現在の場所、名古屋市西区に店をさらに移転しました。営業する場所を選ばなくてもお客様の方から、わざわざ来てくださる店、それがコーリーズなのです。
(上)黒毛和牛刺身(下)ケンケンカツオ
(上)黒毛和牛刺身(下)ケンケンカツオ
今回なぜ、私がお土産があるわけでもないこの店を取り上げたのかといえば、これだけの異端児です。安住の地など求めるはずもなく、実は現在の場所での営業は2015年今年いっぱいまで、と区切りをつけているからです。どうやらシェフは、来年とてつもない事をしでかされるようで、シェフの味を堪能したければ、あと数ヶ月しかチャンスがないのです。
 
(上)キヌのトムヤンクン風マリネ(下)アサリの老酒漬け
(上)キヌのトムヤンクン風マリネ(下)アサリの老酒漬け
大事なお客様に満足の行くおもてなしを考えたいなら、これほどプレミアム感のあるレストランは他にはないでしょう。 そこで今回の大人のおもてなしは、先様をお連れして、感動までお持ち帰るいただけるシェフの腕をご紹介します。もともとはご予約なくとも入っていただけるレストランでしたが、いつの間にか予約のお客様で席が埋まってしまうようになったため、飛び込みで来てくださるお客様にお引き取りいただくご迷惑を考え、現在は完全予約制となっています。
 
毛ガニのコロッケ(中身は毛ガニの身がギッシリ)
毛ガニのコロッケ(中身は毛ガニの身がギッシリ)
-郡山シェフにお聞きしました。「おもてなしとは何ですか?」 シェフは即答されました。 「俺がお客さんだったら、お金を出して食べたいと思う料理です。料理は、1に素材です。最高の素材で、食材の良さをシンプルに調理して、最高のまま提供する事、それが良い料理です」
 
(上)舌平目の香草グラタン(下)ドンブ産ウズラのグリエ
(上)舌平目の香草グラタン(下)ドンブ産ウズラのグリエ
料理人には賞味期限があると言う郡山シェフ。つまり、若いエネルギーがあるから突っ走れる事、円熟味を帯びて見えてくるもの、身についた経験値、世代によって自分の成長に時期が後押ししてくれるものがあるけれど、体力や、持久力など、人間は永遠ではないのです。 だから経験が深ければどこまでも追求できるという事ではないから、いやでも賞味期限はあると言われるのです。 だからこそ、賞味期限の最高なうちに今に区切りをつけ、次に進むというシェフ。さて、来年どんなメニューで世の中をアッと言わせてくれるのでしょうか。楽しみです。 その前に・・・。 私が大事な方を特別なお料理でおもてなしをしたいと思うなら、迷わず今しかないチャンスを活かすと思います。
 

(2015年08月17日)

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