澤田貴美子のつながる“いのち”

第8回 『産後クライシス&より良いパートナーシップを築く(2)』

 産前と産後では、がらりと変わる生活。
産後の女性の中で「育児がこんなに大変だとは思っていなかった」
そう感じている方は少なくないようです。
実際、たくさんの方から「こんなにも自分の時間がなくなるなんて、想像以上だった」という声をたくさん聞きます。
赤ちゃんは、泣いて自分の要求を伝えるといわれていますよね。この要求、産後間もないうちは、本当に理解しづらいものですよね。

写真

 おっぱいが足りないの?
眠くて泣いているの?
抱っこしているのに泣きやまないのはなぜ?
しまいには、自分が泣きたくなってくる。
赤ちゃんを抱っこしたまま、涙がとまらなかった。

 

 初めての育児だと、なおさら不安もたくさん。こんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

 そして、365日24時間、育児に休みはありませんよね。
出産前の生活と比べ、育児中心の生活に変化したことで、大きく影響するのが、パートナーとの関係と言われています。

 ココロにもカラダにも、蓄積するストレス。これをどんどん溜めてしまうと、ますますパートナーとの関係が悪化することになりかねません。

 日頃、産後教室の講座の中で、パートナーシップの重要性についてお話しさせていただいています。

 ゆっくり話す時間がない。
「これを手伝って」と言わなくても、自分から気付いてやってほしいのに。
ついつい命令調になってしまう。
触れられても、全くその気にならない。

 たくさんの声が聞こえてきます。
女性側からすると、男性の気の利かなさに、イラッときてしまうこともあるでしょう。
「父親になった自覚がなさすぎる」という声も多いですよね。

 そこで・・・
パートナーとより良い関係を築くために、まずは何から始めたらよいのでしょうか?
どんなことなら、出来そうでしょうか?

 ある産後ママ。
産後教室で産後クライシスをテーマに、他のママ達とお話をした時のこと。
たくさんのママ達が同じように感じていることに、とても安心されたご様子でした。

 みんな同じなんだ。
産後だから、こんな感情になるのも当たり前なのね。
男性って、そんなふうに感じているの?

 そして、こう感じたそうです。

 「私は、夫にちゃんと気持ちを伝える努力をしていなかった。これからは、ちゃんと言葉にして伝えよう」と。

 数日後、連絡をいただきました。

 産後女性のココロとカラダの変化について、パートナーにお話されたそうです。
今、何が大変で、パートナーに何をして欲しいのか。
中でも、一番伝えたかった「話をきいてほしい」ということ。
「会話の時間を増やしたい」と思っていること。
「あなたを嫌いになったわけじゃないけど、今は、触れられても、どうしてもそういう気分になれない」という本音。

 すると、 「そんな風に思ってるって気付かなくてごめん」という言葉が返ってきたそうです。

 メールには、こう続いていました。
「夜中の授乳で、朝はお布団からお見送りしていました。
朝食も作らない私に文句も言わない夫に“ありがとう”も言えていなかった自分に気付いたんです。改めて“ありがとう”を伝えました。
そして、少し早く起きられる時にだけ、30分でも会話の時間が作れるようにしてみました。
毎日は無理なことを許してね、とも伝えました。
出来ることを少し心掛けただけなのに、二人の関係が以前より良くなったと感じます。
思っていることを言葉にするって、本当に大切ですね」と。

写真

 素敵だなぁと、心があったかくなりました。
そう、「出来ることから少しずつ」が大切ですよね。

 育児期は確かに大変で、心に余裕がなくなってしまうこともしばしばあります。
パートナーとの距離を感じることもあるかもしれません。
でも、少しのきっかけで、心の余裕がうまれることで、パートナーとの距離が今まで以上にぐっと近くなれるチャンスでもあるのですね。

 次回の『澤田貴美子のつながるいのち』をお楽しみに。

澤田貴美子(さわだきみこ) フリーの産前産後フィットネスインストラクターとして、各地の産婦人科クリニックにて、妊娠中や産後、メノポーズ(更年期)の女性への運動指導・乳幼児と母親への育児支援などに従事。また、公益社団法人・誕生学協会認定“誕生学アドバイザー”として、幼児から大学生など幅広い年齢を対象に、いのちの授業「誕生学®」を届けている。

(2015年07月23日)