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映画「64-ロクヨン-」 佐藤浩市インタビュー
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 『半落ち』『クライマーズ・ハイ』など、数々の傑作を生み出してきた横山秀夫が7年ぶりに世に放った衝撃作『64(ロクヨン)』が、映画史に残る感動巨編として映画化。日本映画界を代表する超豪華オールスターキャストが出演する中で、主演を務めた佐藤浩市さんに、作品の魅力や見どころを聞きました。

 影も形も(脚本も)なく、原作だけがあった中で話を受け、そこから関わりました。いろいろ意見を言わせてもらい、撮影に入るまで2年くらいかかりました。2時間の映画にするなら原作のような潮が引いていくようなラストでも良いけど、前編後編にするなら、1本の映画としてのラストの在り方は、原作通りでは投げかけるボールとしては違うのではないか・・・など、随分と話し合って完成したので、思い入れがとても強い作品です。

 企画段階から関わる作品は、今までも何本かありました。でも、原作があるものなのか、オリジナル作品なのか、監督は誰なのか、あの人が撮るならじゃあやろう、など、そういったところから判断して「じゃあ脚本を待ちましょう」という形で始まることが多いんだけど、今回のように、前編後編にするか、1本の作品にするか?など、話し合いから関わる作品はあまりないですね。今までとは形が違って面白かったです。

 作品としての背骨はもちろん一緒ですが、強いて言うなら“肌触り”が違います。前編は人間としての泥臭いドラマが面白く、後編は事件というアクションが生まれることによって、テンポのあるエンターテインメント劇になっています。そういう違いを面白く感じてもらえたらと思います。

 前編の目玉のシーンで、僕が演じる警察の広報官・三上と、瑛太が演じる記者クラブが対立するシーンがあるのですが、予定調和になってほしくなかったので、「俺を潰す気で来い! お前らくらいの年齢のやつらは全部跳ね返してやるから」と、若手俳優たちに宣戦布告をしました。当然、彼らは若くて僕らは先輩になるけれど、「こんなオヤジに負けるもんか! 」という気でぶつかってきてほしかったんです。結果、良いシーンが撮れたし、負けませんでしたけどね(笑)。

 前述の宣戦布告をしたシーンでもありますが、記者クラブと対立するところです。原作では激しい泣きが入るシーンなんですが、いろいろテストをしてみたら、エモーショナルの出し方は最小限に留めた方が良いのでは? となり、抑えめに演じることになったんです。大画面で観ると、三上の感情の振れ幅がしっかり伝わると思います。憤って、呆れて、悲しんで、懇願して・・・という気持ちの変化を、どれくらい一気にできるのだろうという自分の中でチャレンジもあったので、長回しで一気に撮影をしてもらいました。

 刑事部や警務部の違いなど、今まで知らなかった、よくわからないと思うかもしれないですが、組織論や家族の問題、絶望、希望、苛立ちなど・・・誰もが感じたことのある“ざわめき”のドラマが繰り広げられているので、老若男女関わらず映画的に楽しんでもらえると思います。ぜひ、劇場で細かい部分まで観てほしいです。

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©2016映画「64」製作委員会 昭和最後の年・昭和64年はわずか7日間で終わった年。その時に起きた少女誘拐殺人事件は、刑事部で「ロクヨン」と呼ばれ、県警最大の汚点として時効を迎えようとしていた。平成14年、刑事部から警務部の広報官へと異動になった三上(佐藤)は、かつて事件にも関わった敏腕刑事。今は記者クラブやキャリア上司との対立に奮闘している。そんな中、ロクヨンをなぞるような新たな誘拐事件が発生して・・・。

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64-ロクヨン-前編監督/瀬々敬久
原作/横山秀夫『64(ロクヨン)』(文春文庫刊)
出演/佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、瑛太、永瀬正敏、三浦友和 ほか
主題歌/小田和正「風は止んだ」(アリオラジャパン) 時間/2時間1分 2016年5月7日(土)~ミッドランドスクエアシネマほかで公開
(後編は6月11日(土)~公開)
http://64-movie.jp/