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レッド・ファミリー

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レッド・ファミリー
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東京国際映画祭観客賞受賞!
先の読めない衝撃の感動作

 今年の韓国映画は力作揃いでした。中でも本作「レッド・ファミリー」は群を抜いて面白く、細かい描写までしっかりと脳裏に焼き付いています。日本に多くのファンを持ち、韓国映画界の異端児であり天才と呼ばれるキム・ギドク監督が、今回は製作・脚本にまわり、彼が見出した新人監督イ・ジュヒョンがメガホンを取って日本の映画ファンの心を鷲づかみにしています。

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ストーリー

祖父、夫婦、娘で構成された理想的な家族は、実は他人同士で韓国に潜入する北朝鮮工作員グループの“ツツジ班”。偽家族として妻を演じるスパイグループのリーダー・ベク(キム・ユミ)は、隣に住むケンカばかりの一家を「資本主義の限界」と呼び軽蔑していた。やがて隣の一家が起こしたトラブルに巻き込まれるうちに、ツツジ班の4人は北に残してきた家族を思うようになる。ある日、ベクが致命的なミスを犯し、班は窮地に立たされる。罰として命じられたミッションは、隣の家族を暗殺することだった・・・。

 誠実な夫、美しい妻、優しい祖父にかわいい娘。どこからどう見ても理想的な家族で、冒頭のレストランのシーンではどこにでもある一般家庭の日常が映し出されます。家路に向かう車の中で、後方車の動きを伺いながら運転する祖父。ふとよそ見をした瞬間にハンドルを取られ、後方の車と軽い接触事故を起こしてしまいます。駆けつけた警察と被害者にひたすら謝る家族。これもよくある光景ですが、その直後から自分が予想もしていなかった、とんでもない展開になっていきます。彼らは、実は赤の他人同士で、任務遂行のため家族を演じる北朝鮮のスパイだったのです!平凡な私にとっては「スパイ」は映画や小説の中のことで、いわば「ファンタジー」。設定として家族がスパイを装ってドラマが展開する映画は数多くありますが、この物語はそんじょそこらのスパイ映画と違い、先の読めない展開で、予期せぬ笑いと驚きの連続に襲われ、ラストは嗚咽するほど泣かされました。

 実は、偽家族のお隣には、資本主義を象徴するかのような韓国の本物の家族が住んでいるんです。言いたいことを言い合って毎日がケンカ。そんなお隣さんをバカにする偽家族ですが、中盤から2つの家族は食卓を囲む仲に。鍋をつつきながら北朝鮮批判と擁護の論戦に発展する場面は、何か起きるんじゃないか!とハラハラ!・・・させられたかと思いきや、ノーテンキな隣の家族に笑わされホッとする。南北問題を掲げるシリアスなテーマなのに絶妙なタイミングでユーモアを差し込んでくる構成にあっ晴れです!やがて、偽家族はお隣さんと交流していくうちに“家族”というかけがいのなさを改めて感じ、北にいる本当の家族を恋しく思うのですが、そのような感傷に浸ることや、偽家族に絆ができることもスパイである彼らには許されない。家族と思想の間で葛藤する様々な日常と非日常の出来事に「本当の家族とは何なのか」と、考えさせられます。笑いと涙で顔がぐちゃぐちゃになるのを覚悟して観てください!

データ レッド・ファミリー

  • 監督イ・ジュヒョン
  • 出演キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン
  • 公開2014年11月22日(土)より伏見ミリオン座で公開
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。