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受け継がれる日本の心
愛に溢れた美しき映画

 暇さあればスマホをいじり、わからないことはGoogle先生に訪ねる生活を送っている現代人。もちろん私もその1人です。日々の作業に追われ乾燥した心を潤してくれた爽やかな清涼水のような映画、それが「蜩ノ記」なのです。

 10年後に切腹を命じられ、死を目前にしても命乞いをすることもなく、淡々とその日がくるのを待ち遠しくも感じる主人公の戸田。切腹までの残り3年、監視役となった庄三郎が飄々と生きる戸田に不信感を抱くのは当然のこと。病気で命の宣告をされたのならまだしも、殿様の命令とは言え、どう考えても現代に生きる者には納得できないことばかり。しかし、私たち見る者はこの庄三郎と共に、戸田とその家族達との生活を疑似体験することになります。そしていつしか戸田の武士としての気高い生き方に感銘させられるのです。戸田やその家族や庄三郎のそれぞれの人生を静謐なタッチで描き、時の経過を映像で語っていく。こんなに美しい映画は近年観たことがありません。10年後の切腹の日がやってきた時の家族の見送り方がほんとに素敵なのです。戸田と妻が最後に話すシーンにこの映画のすべてが集約されているんじゃないかな。人が亡くなる話なのに、見終わった後に清々しい気持ちになったのは映画観賞人生初かもしれない。

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ストーリー

戸田秋谷(役所広司)はある罪で10年後の夏に切腹、生きている間は藩の歴史である「家譜」を作ることを命じられている。その命もあと3年に迫った時、彼の監視役として檀野庄三郎(岡田准一)が戸田家に派遣される。檀野は、死を目前にした戸田があまりにも淡々と生きており、それが最初はまったく理解できず不審を抱いていが、当時の事件の真相を知り戸田の気高い生き方に感銘していく・・・・・・。

 この美しい映画をスクリーンに描き出したのは黒澤明監督の助監督を28年務め、黒澤監督の意志を色濃く引き継いだ直系の弟子である小泉堯史監督。「美しい映画を撮りたい」という黒澤イズムを受け継ぎ、自身のセンチメンタルな想いが凝縮した本作。また、監督が常々仰っているのは、映画は「脚本とキャスト」。どんな素晴らしい楽器でも使い手が下手なら美しい音色を奏でることは出来ないように、映画も同じことだと。それぞれの人物を立体的に掴み、その心の内を見事に表現した俳優陣の演技にもぜひ注目してほしい。岡田くんの居合い、食事時の礼儀作法、言葉使い、書道や踊りと、彼らの“時代の人の成りきりぶり”にも頭が下がります。武士の心や生き方はもはや、私たちにとってはファンタジーのようなもの。しかし、混迷を深める時代だからこそ、先人達がどのように生きていたのか、振り返ってみる時間も必要ではないでしょうか。映画ならたったの2時間!たまには心に潤いを与えてあげてください。

データ 蜩ノ記

  • 監督小泉堯史
  • 脚本小泉堯史、吉田 求
  • 出演役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、寺島しのぶ
  • 公開2014年10月4日(土)~ ミッドランドスクエアシネマほかで公開
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。