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地味だけど面白い!
辞書作りにかけるある男の物語

 24万語を収録する新しい辞書作りに励む人々の15年間を描く本作。「まほろ駅前多田便利軒」で第135回直木賞を受賞し、2012年本屋大賞第一位に輝いた三浦しをんの傑作小説の映画化となります。

 三浦氏の「まほろ~」シリーズでは人を食ったような男を痛快に演じていた松田龍平が本作では、真逆の、文字オタク&地味すぎて目立たない青年を好演しています。口べたで好きな女性に想いを伝えることも出来ないような不器用な青年ですが、おどおどした様が微笑ましくて、辞書編集者としての成長や恋の行方をずっと見守りたくなります。

 松田龍平演じるその青年の名は「馬締光也」。マジメミツヤと読みます(笑)。三浦しをんさんの名前のセンスも素晴らしいですね。その馬締くんの初恋の相手・林香具矢(はやしかぐや)には、この人以外にまったく思いつかないほどハマリ役の宮﨑あおいが演じています。
 二人のシーンで印象的だったのは、馬締くんが香具矢に月の明かりの下で一目惚れしたときのなんともいえない表情。漫画チックでぽか~んと口開けて、頬が赤くなって硬直しちゃう。次の日、馬締くんは恋熱がでてしまい、オダギリジョー演じる先輩にいじられる姿が微笑ましかった。

 そして、忘れてならないのがこの映画のもうひとつの主役である「言葉」。誰かに気持ちを伝えたい、きちんと伝えたい、という思いは、言葉という絆を得てそれぞれの人生を優しく編み上げていきます。  馬締くんが辞書編集部にスカウトされる際に「右を説明できるか?」と聞かれます。後から何度も考えたけど「右」の説明はほんとに難しい。みなさん、説明できますか?

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ストーリー

玄武書房の営業部・馬締光也(松田龍平)は口べたで、営業成績を上げることが出来ず浮いた存在になっていた。その頃、定年間近で自分の後任探しをしていた辞書編集部の荒木(小林薫)が、馬締の言葉に対する並外れた知識と感性を見抜いて辞書編集部に引き抜き、新しい辞書作りを任せることに。俗語や略語、若者ことばも網羅した今を生きる辞書を目指すため、馬締は奮闘する。

 何気なく使っている言葉のとらえ方が映画を観ると変わるんじゃないかな。本作で知ったのですが、辞書編集は出版するまでが長い!月刊誌、週刊誌に比べると、ほんとに気が遠くなるような地道な作業の連続なんです。用例採集(言葉集め)、語釈執筆、レイアウトに校正、紙選び・・・。その辞書完成までの長い期間を、さすがの若き天才監督石井裕也さん、淡々とかつスリリングに描き、人間模様をユーモラスにあぶり出しながら見事なエンタテイメントに仕上げています。

 監督は龍平くんと同い年で今年30歳。これまで尖った作品が多かったのですが、中高年の人生経験豊富な監督が描いたのかと勘違いするほど、落ち着いた大人の演出がされていて、見終わってしばらくジワジワきていました。
 あ、それと観た後は、みなさん辞書を手にしたくなりますよ。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ 舟を編む

  • 監督石井裕也
  • 原作三浦しをん
  • 出演松田龍平/宮﨑あおい/オダギリジョー/黒木華/小林薫/加藤剛
  • 公開2013年4月13日(土)~ ミッドランドスクエアシネマほか
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。