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希望の国

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原発事故後の土地に生きる
人をニュートラルに描いた作品

 愛知県豊川市出身の園子温監督。「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」そして「恋の罪」と、現実に起きた事件を題材にした作品の数々で性や暴力といったタブーに挑み続けてきました。
 園監督作品の多くは、名古屋の今池にあるミニシアター「名古屋シネマテーク」で公開していたので、ふらりとシネマテークに遊びに来ていた監督の姿を見かけたことがあります。なんだか酔っているのかボッーとした印象だったな(笑)。

 デビュー作から国内よりも海外での評価が高く、映画賞も数え切れないほど受賞してきた監督ですが、このところ国内でも連続ヒットという快挙。前作の「ヒミズ」では、震災後の日本を舞台に脚本を書き直して高い評価を受け、主演の染谷将太、二階堂ふみにヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞をもたらしました。「ヒミズ」を撮っている時から震災問題をもっときちんと撮らなければ!という強い想いがあり本作が生まれたそうです。

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ストーリー

酪農を営む小野一家は、大地震による原発事故で家の前まで避難区域に指定される。父(夏八木勲)は、息子(村上淳)とその妻(神楽坂恵)を避難させ、自分は認知症の妻(大谷直子)と家に留まることを決心する。

 先日、一年ぶりにお会いして、本作について熱く語っていただきました。「希望の国」というタイトルは、半年間の被災地取材を経た大晦日に、3・11以降ストップしてしまった街の海辺に立ち、美しい初日の出を見たときに、この国にはまだ希望があると感じて付けた作品名なのだとか。震災後、数々のドキュメンタリーが発表されましたが、監督はあえて劇映画にこだわりました。ドキュメンタリーは、ナレーションもインタビューを受ける人の言葉も全てが“過去形”。すると、見る側は客観的にしか見れず、「そんなことがあったね」で終わってしまう。ドラマで見るということは、その瞬間、その時を、その場で体験することが出来る。そして自分で考え、感じることで現在進行形になる。それが一番重要だと思ったそうです。
 庭先に杭が打たれて自宅の半分が避難指示区域になるなんて、信じられないですよね?! 作品は架空の県で起こった近未来の話になっていますが、監督が被災地で実際に見てきた事実の重ね合わせなので、本当に今、日本で起きていることを映画を通して目の当たりにし、私は愕然としてしまいました。この映画は「脱!原発」とか社会派でもなんでもなくて、難しい言葉も排除してその場所で生活している人たちの姿や感情を撮りたかったと語った監督。園子温ならではの挑発的な表現もあるけれど、観た後に心がざわめいたのは確か。この作品で描かれていることは、他人事ではなく自分の家族の明日の姿なのかもしれません。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ 希望の国

  • 監督園子温
  • 脚本園子温
  • 出演夏八木勲/大谷直子/村上淳/神楽坂恵/清水優/梶原ひかり
  • 公開2012年10月20日(土)~ミッドランドスクエアシネマほか
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。