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イラン式料理本

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キッチンから世界中の主婦へ
料理を通した本音の家庭事情

 このコーナーで以前、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「別離」というイラン映画を紹介しましたが、この秋はイラン映画の話題作が3本公開されます。
 なかでも私のお気に入りは、ドキュメンタリー映画「イラン式料理本」。監督の母、妻、妹など世代の違う奥さん7人にカメラを向け、イランの家庭料理を紹介すると共に家の心臓であるキッチンを通して、今のイラン社会に起きている変化を描いていきます。カメラは屋内から一歩も出ないでほとんど台所の隅においていて、それぞれがいろんな文句を言いながら、得意料理の腕を振るっている様子がすごく面白かった。

 9才で結婚しもうすぐ100才になるおばあちゃん、14才の時に40才の夫に嫁ぎ、伝統料理を時間をかけて作る奥さん、「私も働いているんだから料理はインスタントでもいいでしょう」と主張する監督の奥さんなど、とにかくみなさん個性豊かで、普通のインタビューと違って料理を作りながら話すのでものすごく自然なんです。
 特に圧巻なのは主婦歴35年、5人の子供を持つ監督の義理の母と姑とのやりとり。姑はもうキッチンを引退して今は奥さんが仕切っている。「結婚当初、どうしてあんなにいじめたのよ!」と、ここぞとばかりカメラを前にして問い詰める嫁と、「許しておくれ、仕方ないじゃないか」と謝る姑。このやりとりには思わず噴き出してしまった。

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ストーリー

家庭のキッチンに立つ、年齢も環境も異なるイランの7人の女性たち。主婦歴35年の女性は皮肉たっぷりのジョークを連発しながら、伝統的な家庭料理を作る。一方、大学に通いながら双子を育てる若い女性は、要領も悪く一品作るのにも時間がかかってしまう。その他にも、ラマダン中の大人数の食事を準備する女たちなど、それぞれのキッチンでドラマが繰り広げられる。

 イランには客人歓待の精神があるということで、男性たちは妻の断りもなく友人達をわんさか連れてきます。そこで焦るのは主婦達。「突然連れてくるな!」という心の声も聞かせてくれています。これは万国共通主婦の声ですね、突然連れてこられたら困っちゃいますもの。

 奥さんが4~6時間程かけて煮込んだり包んだり、苦労して作った美味しそうな料理がランチマットにズラリと並びますが、食べる時間はたった20~30分。旦那は何時間もかけて作ったとは思わず、「一時間くらいだろ?」とさらっと言って食べ終わると、片付けも手伝わない。一体旦那たちは主婦達の仕事をどう思っているのかしら。プンプン!夫婦で見たら、奥さんを敬おうという気持ちになると思いますよ。女性同士で観て共感し合って、旦那の悪口大会でストレス解消するのもおすすめです。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ イラン式料理本

  • 監督モハマド・シルワーニ
  • 脚本モハマド・シルワーニ
  • 製作モハマド・シルワーニ
  • 配給アニープラネット
  • 公開2012年10月6日(土)~名演小劇場にて
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。