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別離

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別離
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緊張感溢れるストーリー展開
嘘と秘密が絡み合う人間ドラマ

 昨年のベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞のみならず、主演男優賞、女優賞を獲得し史上初の快挙を成し遂げた「別離」。さらにゴールデングローブ賞、アカデミー外国語映画賞を受賞するなど90冠を超える映画賞に輝きました。

 イラン映画といえば、やはり世界中に高い評価を得た98年日本公開、妹を想う兄の優しさを描いた「運動靴と赤い金魚」を真っ先に思い出します。(未見の人はぜひ見てくださいね、オススメ)。
 イランは映画の規制が厳しく、「運動靴~」のように子供を主人公にした映画は多いのですが、「別離」のような、離婚の危機を迎えた夫婦が、別の夫婦との関わりを通じていろんな社会問題や宗教上の倫理観に触れていくドラマは製作自体が難しいのです。
 現にアスガー・ファルハディ監督は2010年イラン文化・イスラム指導省から本作の製作許可を取り消されたのですが、不屈の精神で作品を完成させたのです。現在もイラン映画界では厳しい規制が敷かれていますが、世界中の人たちが感動し、評価された本作が、未来を担うイランの映画人たちに明るい光を与えてくれるといいなと思います。

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ストーリー

イランのテヘランで暮らすシミン(レイラ・ハタミ)とナデル(ペイマン・モアディ)には11歳になる娘がいた。妻シミンは娘の教育のために外国へ移住するつもりだったが、夫ナデルは認知症を患った父のために残ると言う。父の介護の為に家政婦を雇うが・・

 娘の教育のために国外移住を主張する妻と、認知症の父の為に国外にはいけないと反対する夫。二人は離婚を申し立て、別居を機に父親の介護と家の掃除を任せる妊娠中の家政婦を雇います。ある日、介護中に事件が起きて、家政婦を手荒く追い出してしまう雇い主。その晩彼女が流産してしまうことで大きな騒動へと発展してしまいます。

 事態はサスペンドラマのように展開し、登場人物たちの物事のとらえ方の相違や嘘などを次第に明かしていくのですが、それはまるでパズルのよう。誰かがひとつ嘘をつけば、すべてが崩れていくのです。
 それぞれの立場から多方面に絡み合う考え方をたったひとつの真実に向かって見せていくという見事な演出で、一瞬たりとも画面から目が離せなくなるくらい虜になってしまった。宗教観や文化、経済状況が異なる二組の夫婦の衝突で、未だ男性優位のイスラム社会に翻弄される女性達の姿、コーランの教え、イラン社会の現状などもわかります。愛する者を守るためについた小さな嘘と秘密。ふたつの家族どちらも悪い人じゃないからこそ、止まらない負の連鎖が胸を刺します。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ 別離

  • 監督アスガー・ファルハディ
  • 脚本アスガー・ファルハディ
  • 出演レイラ・ハタミ/ペイマン・モアディ/シャハブ・ホセイニ
  • 公開2012年5月12日(土)~名演小劇場にて
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。