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キツツキと雨

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無骨な木こりと、気弱な若い
映画監督のちょっといい話

 極限下で暮らす南極観測隊員たちの共同生活を、あたたかい笑いで包み大ヒットを記録した「南極料理人」の若き天才監督沖田修一の長編第二弾。本作もまたやさしくて、おかしくてホロリとさせる秀作です。

 無骨な木こりの克彦を役所広司が、ゾンビ映画撮影隊を率いる気弱な新人監督の幸一を小栗旬が演じています。映画製作をしぶしぶ手伝わされる60歳の克彦ですが、徐々に面白くなり最後にはエキストラまで集めてしまう。一方、プロデューサーに乗せられて監督に抜擢されたのか、まったく自信のない幸一。
 職業も年齢も違う二人の心の交流が、撮影隊や山村の人々に影響を与え、一丸となってひとつの作品を作り上げていく達成感は、見る側にもひしひしと伝わり、まるで私たちもその映画作りに参加しているようでした。

 木こりを演じる役所さんのフツーのおじさんぶりがすごく魅力的でね、作業ズボンを長靴にインして頭はぼさぼさでおまけに無愛想。ホントに山で仕事をしていそうなおじさんなのです。映画「聯合艦隊司令長官山本五十六」で頼もしいリーダーを演じていた人とは思えません。役所さんは劇中劇の映画「ユートピア ゾンビ大戦争」の エキストラ役として参加するので、なんと! ゾンビメイクも披露しています。これは貴重!

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ストーリー

ゾンビ映画の撮影のために山村にやってきた映画監督の幸一(小栗旬)と撮影スタッフ。木こりの克彦(役所広司)は道に迷った彼らの道案内をしますが、希望通りのロケ地が見つけられない彼らに散々振り回されたあげく、映画のエキストラとして出演するはめになる。

 今回、岐阜県の東農地区、中津川、恵那、瑞浪などでオールロケとなったので、地元の人たちもエキストラで参加し、ゾンビメイクに挑戦。物語の中で、ゾンビメイクで畑を耕していたり、駅で切符を切っている駅員さんがいるんですが、それが妙に町の風景にマッチしているように思えたのが可笑しかったな。エキストラさんも楽しんでいたに違いありません。

 先日、役所さん、小栗さん、監督が来名した舞台挨拶で聞いたお話しの中で、面白かったのは、克彦と幸一が露天風呂で偶然会って一緒にお風呂に入るシーンのエピソード。その日は寒すぎて前張りをつけてもすぐはがれてしまい、結局なにもつけないままタオルを巻いただけ。見えてはいけないものが見えないように努力しながら撮影したそうです。二人が裸の付き合いをしながら心を交わしていくとてもよいシーンなのですが、その話を聞いたら違う意味でもう一度見たくなりました(笑)。
 この温泉は、南木曽温泉「木曽路館」の温泉ですが、美術スタッフが露天風呂の趣に変化させたそうです。ここは訪ねてみたい温泉の一つになりました。

 何かをみんなで作り上げるのは大変なことですが、強い意志をもって諦めなければまわりもフォローし、ちゃんとカタチになるってことをこの映画は教えてくれる。劇中劇のクランクアップシーンで見せる幸一の清々しい笑顔がそれを物語っています。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ キツツキと雨

  • 監督沖田修一
  • 脚本沖田修一
  • 出演役所広司/小栗旬/高良健吾/臼田あさ美/伊武雅刀/山﨑努
  • 公開2012年2月11日(土)~伏見ミリオン座ほか
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。