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一命

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渾身の演技で見る者を圧倒
本物のサムライスピリッツ

 今年のカンヌ国際映画祭で絶賛された「一命」。半世紀前には名匠・小林正樹監督が「切腹」というタイトルで映画化した作品ですが、今回はいまもなお語り継がれるこの名作の単なるリメイクではなく、「切腹」の原作となった滝口康彦の「異聞浪人記」の世界観に、新たに「十三人の刺客」「クローズZERO」の三池崇史監督が挑みました。

 先日のインタビューで、監督がカンヌの時の思い出を語ってくださった。「『十三人の刺客』の時、ベネチアで力強い拍手をいただいたけど、カンヌの拍手はベネチアと違ってすごく優しく温かいんだよ。それは、役者の演技もあるのだろうけど、一命をかけて、己の義を貫く武士の生き様に対しての拍手だったと思う」
 外国の方々の心に響いたのは浪人となった武士の悲哀、さらには武家社会そのものの欺瞞、理不尽さだと思います。武士には本音と建て前があって、武士として“こうすべき”というルールがあり、しかし人間として生きていると、そうはいかないことも多々ある。その葛藤のドラマが描かれているのです。
 自分1人ではどうすることもできない慣習や社会の中で、武士として自分が信じる正しい生き方を、命を賭けて貫こうとする侍たち。その生き様は貧困、格差、政治、お金、権力といった、今と何ら変わらない問題を抱えているのです。観賞後は、海老蔵さんの何とも言えない哀しみに満ちた表情と眼力が脳裏から離れず、「一体何が善で、悪なのか?」と自分に問いかけられているようだった。

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ストーリー

江戸時代初頭、困窮した浪人たちの間では、裕福な大名屋敷に押しかけて切腹を申し出ると屋敷側から金銭を与えられるという「狂言切腹」が流行していた。ある日、名門・井伊家の門前に、切腹を願い出る津雲半四郎(市川海老蔵)が現れ、井伊家の家老・斉藤勘解由(役所広司)に驚くべき真実を語り始める。

 海老蔵の娘を「愛のむきだし」「悪人」の満島ひかり、そしてその夫を瑛太が演じています。前半の瑛太扮する侍の切腹シーンが壮絶で、撮り方も執拗。 もう、それはそれはインパクト大。近年のどんなホラー映画よりもショッキングかもしれません!そのエグさがすべて後半の展開に生きてくるんです。静と動、緩と急のメリハリは見る物をぐぐっと引き寄せ、張り詰めたクライマックスで爆発する様は、日本映画の歴史に残る殺陣シーンになるに違いありません。

 顔は恐いが実はとってもお茶目な監督。取材の最後に「時代劇初の本格3D。海老蔵がどかーんと飛び出しますよ~」と言っていました。確かに海老蔵さんは、今にも飛び出すようなオーラに違いないけど、3Dならではの映像美と奥行きを楽しんで欲しいかな(笑)。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ 一命

  • 監督三池崇史
  • 出演市川海老蔵/瑛太/満島ひかり/役所広司/竹中直人
  • 公開10/15(土)~ミッドランド スクエア シネマほか
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。