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魔法を信じる少女と老手品師の
ノスタルジックな物語

 第83回アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされた本作。『ぼくの伯父さん』シリーズで名を馳せたフランスの喜劇の名匠ジャック・タチが娘のために書いた幻の脚本を基に、『ベルヴィル・ランデブー』で独特のセンスを発揮したシルヴァン・ショメがアニメーション化しました。

 ロックンロールやTVが世界を席捲し、時代が古きを追い落とすように進む1950年代のパリ。昔ながらの手品を披露する老人タチシェフは場末の劇場や酒場などを転々とし、スコットランドの離島でホテルの下働きをする純粋な少女アリスと出会います。
 二人は言葉が通じないのでセリフは至って少なく、やりとりは身振り手振り。まるで無声映画のように生活音や音楽だけで見せていきます。顔のアップもなく表情もひかえめで、キャラクターの表情の細やかさや動きはデジタルできっちり計算されたものとは異なり、味があるんです。
 劇場や街並み、ホテルの部屋などの情景と共にその時々の心情をじんわりと感じることができる。まさに、詩情豊かな大人向けのアニメーションですね。

 都会に住み始めてもアリスは徹底してずっと無垢なまま。何でも願いを叶えてくれるタチシェフを魔法使いと信じ込み、甲斐甲斐しく世話を焼き甘えるアリス。
 毎日の食事も彼女が作るのですが、ある日、ウサギのシチューが用意されていたのです。手品の「タネ」となるウサギを食材にしてしまったのではないかと慌てるタチシェフの仕草がおもしろくて。このようにコミカルなシーンも登場し、時々クスっと笑わせてくれるの。笑いと切なさのバランスの良さ、これはもう、喜劇王のタチならではのアイディア。

ストーリー

1950年代のパリ。時代遅れになった老手品師タチシェフは旅に出る。スコットランドの離島にたどりつき、片田舎のパブで芸を披露する。そこで出会った少女アリスは手品師を、夢を叶えてくれる魔法使いだと信じ、島を出て彼の後を追っていく。

 アリスに最後のイリュージョンを贈るラストシーンの背景には、フランスの古き良き伝統がモダンな世界に取って代わられようとしている時代のもの悲しさも染み渡り、大切な「なにか」を忘れた現代人にその「なにか」を教えてくれる映画でもあります。
 ビジュアルから漂うぬくもりと儚さを包み込んだ深い余韻のある本作は、普段アニメーションをみないという人にもオススメしたい!(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ イリュージョニスト

  • 監督シルヴァン・ショメ
    脚色:シルヴァン・ショメ
    オリジナル脚本:ジャック・タチ
  • 公開4/9(土)~伏見ミリオン座にて
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。