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乱暴と待機(PG-12)

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乱暴と待機(PG-12)
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覗く男と覗かれる女
訳あり夫婦の濃密な四角関係

 演劇界・文学界で今、もっとも注目されている本谷有希子氏による原作&演出で05年に上演された本作は、その後小説になり、今回の映画化となりました。

 ニートの番上貴男とその妻で妊娠中のあずさの引っ越し先には、血のつながりもないのに兄妹を装う山根と奈々瀬が住んでいた。これがこの物語の主人公4人。ほとんどこの4人しか出てきません。

 4人の関係性は物語が進行するにつれて徐々に明るみになっていきます。気の強いあずさと人の顔色ばかりうかがっている奈々瀬の関係。兄妹でもないのに「お兄ちゃん」と愛らしく呼ぶ奈々瀬と、その奈々瀬に長年の憎しみをもつ山根が同居しているワケ。そして、その憎しみのワケ。そこにダメンズ夫の番上が加わり、もう、それはそれは奇妙でトンデモない四角関係に発展するのです! 嘘みたいな、でもリアルな展開に大笑いしちゃいました。

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ストーリー

番上(山田孝之)と妊娠中の妻・あずさ(小池栄子)が引っ越した先にいたのは、あずさの高校時代の天敵、奈々瀬(美波)だった。奈々瀬は怪しい男・英則(浅野忠信)と兄妹のフリをしながら同居し、英則は屋根裏から奈々瀬をのぞくことを習慣にしていた。番上と奈々瀬が接近したことから、4人の関係はもつれていく。

 だいたい本谷さんの小説にはどれも、自意識過剰の、かなりめんどくさい、絶対に友だちにはなりたくない人々が出てきます。それが、今回の登場人物4人全員に当てはまる(笑)。特に奈々瀬は大キライ。イヤって言えない、人の顔色ばかりうかがう、人の話にあわせる。ほら、人間は自分に似た人が嫌いっていうでしょ? だから自分を見ているようで、妙な気分。

 物語の前半で番上が、得体の知れないM女・奈々瀬(これが、男からしてみれば妖精なんですが・・)に興味をもったことで、夫婦の異常性が徐々にあぶりだされていくのですが、印象に残ったのは山田孝之演じる番上が、美波演じる奈々瀬に言う「積極的に麻痺しようよ」という言葉。男も女もセックスしたいと思うと、後先考えず、その関係性も考えず本能のままに流れていく。これって、すっごくリアルな言葉じゃないですか?

 お断りしておきますが、番上と美波のベットシーンはかなりHでアリマス! 山田ファンにはちょっと刺激が強いかも。そうそう、『十三人の刺客』の男気のある役とは真逆なダメンズ夫なので比べてみてはいかが?
 物語の展開もカメラアングルも、不安定な音も、セリフも、そして全員の濃すぎる演技も、最高! 今年お気に入りの一本です。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ 乱暴と待機(PG-12)

  • 監督冨永昌敬
  • 出演浅野忠信/美波/小池栄子/山田孝之
  • 脚本・編集:冨永昌敬
    原作:本谷有希子
  • 公開10/23(土)~伏見ミリオン座にて
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。