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ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~

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ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~
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日本一多忙な俳優・浅野忠信
究極のダメ男を熱演

 波瀾万丈の人生を送った太宰治の生誕100年を記念して今年から来年、続々と太宰治作品が映画化されていますね。本作は「ヴィヨンの妻」をベースに、「思ひ出」、「灯籠」、「姥捨」、「きりぎりす」、そして代表作のひとつ「桜桃」がブレンドされたオリジナルストーリー。太宰のイメージは自虐的で暗いと捉えがちですが、映画のベースとなった「ヴィヨンの妻」は研ぎ澄まされたユーモアが随所にちりばめられた傑作なのです。

 大酒飲みで浮気を繰り返す小説家・大谷は家庭をかえりみず、毎晩飲み歩いて金もない、あげく他人の金を盗み、浮気を繰り返し、愛人と死のうとする自分勝手な夫。でも、妻の佐知はいつでも夫に寄り添い、強くて大きな愛で優しく包み込む。夫の弱さや脆さも全て受け止めて、彼の中の一筋の誠実さだけを信じて明るく振舞うのです。

 原作の佐知は、大谷以外の男にあっさり汚され、それでも平然と生きていて美しいがどこか陰鬱ですが、映画の佐知は、酒を飲んでは「俺は駄目な男だ」とくだを巻く夫を軽くあしらい、夫の悪行を聞いて思わず笑って噴き出してしまうような女性なのです。「ダメな夫に耐える妻」と捉えがちですが、いやいや佐知は夫以上に変わり者だと思いますね。この人こそ何考えているのだか、気になってしかたがないのです。

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ストーリー

戦後の混乱期、酒飲みで浮気を繰り返す小説家・大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)は、夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、彼女に好意を寄せる男も現れる。そんな中、大谷はバーの女と姿を消してしまい……。

 さて、佐知が明るくて決して下品にならない美しさは、松たか子が演じているからこその魅力だと思います。そして、究極のダメ男を演じる浅野忠信も素晴らしいのなんのって! 浅野さん演じる大谷はモテモテ。なぜか女ってダメンズに弱いですよね(笑)。

 それにしても、浅野さんとは今年は3本の映画でお会いしました。超多忙の中、名古屋キャンペーンは必ず来てくださるんです! 映画人としての活躍にますます目が離せません。

 モントリオール世界映画祭で監督賞を受賞し、世界中の映画人から賛美をうけた本作で問いかけられるのは「夫婦で築く幸せ」。幸せって人それぞれですよね。手さぐりだけど、心底気持ちが通い合う夫婦になっていくには大谷と佐知のようにお互いの個性を共有しあうのが大切だと。本作は夫婦の始まりの物語なのかもしれません。(映画パーソナリティ・松岡ひとみ)

データ ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~

  • 監督根岸吉太郎
  • 原作太宰治
  • 出演松たか子/浅野忠信/室井滋/伊武雅刀/妻夫木聡/堤真一/広末涼子
  • 公開10/10(土)~名駅前ピカデリーほか
松岡 ひとみ  Hitomi Matsuoka  (映画パーソナリティ)  TV、ラジオ、雑誌で新作映画をナビゲート。試写会や舞台挨拶などの司会も務める。オピ・リーナ読者に向けて、独自の視点から「デート映画」と「お友達映画」を紹介します。